コーポレートガバナンス・コード改訂のポイント

2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂されました。

今回の改訂における特色として、サステナビリティやESGに関する企業の取り組み強化を求める内容が多く含まれている点が挙げられます。具体的には以下となります。

  • 気候変動、人権、労働安全衛生、サプライヤーとの関係、リスクマネジメントなど主要なサステナビリティ課題を挙げたうえで、取締役会に対してサステナビリティ課題を重要な経営課題として認識すべきと指摘
  • 女性の登用を含むダイバーシティについて、その考え方や具体的な人材育成・社内環境整備を含む方針を示すとともに、測定可能な目標とその状況の開示を求める
  • 取締役会が、サステナビリティの取組方針を策定し、また、実効的に監督すべきであると明記し、サステナビリティ課題に関する企業のガバナンスを強調
  • 取締役会に対して、内部統制・リスク管理体制の適切な構築と、運用状況の監督を求める

この他にも英語での情報開示の強化を求めるなど、海外機関投資家を意識した内容も含まれています。

このように、今回の改訂版コーポレートガバナンス・コードは、企業にサステナビリティ課題への対応を「重要な経営課題」として認識し、いくつかの具体的な課題も挙げた上で、それらを含む包括的な取り組みを求めています。

TCFD提言に沿った情報開示

今回のコーポレートガバナンス・コードの改訂では、プライム市場上場会社に気候変動に関する情報開示をTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づいて行うことが求められています。

TCFD(Task Force on Climate-Related Financial Disclosure)は、気候変動要因に関する適切な投資判断を促すための一貫性・比較可能性・信頼性・明確性をもつ効率的な情報開示を促す提言を策定することを目指して、2017年6月に「勧告」を公表し、2021年に10月にそれを一部アップデートしています。

TCFDは、4つの中核要素から構成されています。

  • ガバナンス
  • 戦略
  • リスク管理
  • 指標と目標

2021年10月に行われた「勧告」のアップデートでは、戦略のパートにおいて「移行計画」の開示が追加されました。この「移行計画」とは、GHG排出量の削減に向けた目標や行動などを含む、組織の低炭素経済への移行を支える全体的な戦略と位置付けられています。気候変動対応に対するコミットメントが分かる情報開示として、投資家は特に「移行計画」に高い関心を寄せていると言えます。

企業に求められる対応

投資家を始めとするステークホルダーに自社の取組状況を確実に伝達し、理解を深めてもらうという点からも、企業がESG情報開示を全社視点に立って展開・強化することが極めて重要です。ESG情報開示が十分に進んでいない企業にとっては、コーポレートガバナンス・コード対応という点でもIRの観点からも早急な取り組みが求められています。

イースクエアでは、企業のESG情報開示に関するアドバイスや評価向上に向けたコンサルティングを提供しています。詳しくはお気軽にお問い合わせください。



esg1.jpg

上記サービスについてのお問い合わせ

株式会社イースクエア
担当: 大森 慶子、汪 浩
〒105-0003 東京都港区西新橋3-23-12 第二山内ビル
tel: 03-5777-6730   fax: 03-5777-6735
お問い合わせはこちら