vol.6 「日本版スチュワードシップ・コード、100社超の機関投資家が受け入れ表明」など(2014年6月30日)
こんにちは。イースクエア代表の本木啓生です。
 
 突発的なヒョウや激しい雷雨、都市部の洪水・・・気候変動の影響が深刻化し
 ているのではないかと感じずにはいられないこの頃です。
 
 さて、5月13-14日にニューヨークで開催された「シェアードバリュー・リーダ
 ーシップ・サミット」に参加してきました。4回目となる今年の来場者は410名
 と昨年から倍増し、インターネット経由での参加者を合わせると約1,000名が
 参加しました。シェアードバリュー(CSV)への世界的な関心の高さが伺えます。
 
 ご存知の方も多いと思いますが、シェアードバリューは、社会や環境課題に対
 応していくことと、企業としての利益を上げていくことの両方を同時に達成す
 るビジネスモデルを意味しており、ハーバード大学教授のマイケル・ポーター
 とFSGの共同設立者のマーク・クラマーの両氏によって創り出された概念です。
 
 特徴は、社会貢献活動のような利益の分配ではなく、あくまで事業戦略として
 社会と企業の両方のメリットを拡大していくという発想です。
 
 今回のサミットでは、企業人だけではなく、NGOや慈善団体からの参加者も目
 立っていました。ポーター氏が基調講演の中でも強調していたように、企業が
 シェアードバリューを作っていく上でNGOとのコラボレーションや政府とのコ
 ラボレーションなど、セクターを超えた連携が重要なカギとなっていることが
 認識されてきたためでしょう。
 
 社会課題を解決するために、企業の持つ様々な能力への期待が高まっています。
 企業には、資金力、人材と組織力、技術・ノウハウなど、他のセクターにはな
 いリソースがあります。NGOや政府が自らの目的を達成するために企業の力を
 活用する、企業も他セクターとの協業によって新たなビジネスモデルを構築す
 る、セクター間のコラボレーションによる成功事例が増えてきています。
 
 ポーターとクラマーが現在着目しているのが金融セクターです。シェアードバ
 リューを投資家の視点から分析したペーパーが、年内にハーバードビジネスレ
 ビューから発行されるということもあり、IFC(国際金融公社)長官のJin-Yong 
 Cai氏や資産運用世界最大手であるブラックロックの責任投資の最高責任者を
 始めとした金融セクターからの登壇者も多く、金融界からも注目されているこ
 とが伺えます。
 
 社会課題の解決と企業利益の実現は、中長期的に見ると投資機関にとってのメ
 リットも大きいのです。投資家がどのようにお金を使うかによって社会のあり
 方は大きく変わります。
 
 いま、中長期投資のためにESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する投資家を
 企業が取り込むうえで、非財務情報開示のあり方がこれまで以上に重要になっ
 てきています。イースクエアでは機関投資家の投資決定のメカニズム、ESG投資
 を取り巻く世界的な潮流、投資機関がESG情報を投資決定においてどのように使
 っているかなどを学んでいただく機会として、2014年7月2日(水)と11日(金)
 の2日間に分けてセミナーを開催します。
 
 既に50名近くに参加申し込み頂いており満席に近い状態ですが、まだ若干数の
 席はご用意できますので、ご希望される方は下記URLよりお申し込み下さい。
  https://www.e-squareinc.com/news/2014/140508.html
 
 
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 ◇◆ 目次
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 〔1〕注目CSRニュース - 「日本版スチュワードシップ・コード、100社超の
               機関投資家が受け入れ表明」
 
 〔2〕オルタナCSR monthly - 「タンザニアでもみ殻から固形燃料を作る」
 
 〔3〕サービス紹介 - 「eラーニング」を使ったCSR教育」
 
 〔4〕イベント報告 - 「ワークショップ『新興国・途上国におけるCSR戦略』」
 
 〔5〕コンパスプラス - 「タンザニア干しいもプロジェクトがNHKの特集に!」
 
 
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 〔1〕注目CSRニュース - 「日本版スチュワードシップ・コード、100社超の
               機関投資家が受け入れ表明」
 
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 このコーナーでは、企業のCSR担当者向け情報サイト、「CSRコンパス」
 http://www.csr-compass.jp 
 から注目ニュースをピックアップしてご紹介します。
 
 
 今回取り上げるニュースは、「日本版スチュワードシップ・コード、100社超
 の機関投資家が受け入れ表明」です。
 
 ------<CSRコンパスの6月のニュースから転載>--------------------------
 
 金融庁は、2014年5月末までに日本版スチュワードシップ・コードの受け入れ
 を表明した機関投資家のリストを公表した。野村アセットマネジメントやフィ
 デリティ投信株式会社などの投信・投資顧問会社86社、生損保各社19社をはじ
 め、合計で127社が受け入れを表明した。
 
 同コードは、金融庁に設置された「日本版スチュワードシップ・コードに関す
 る有識者検討会」が策定したもので、2014年2月に公表された。同庁は、機関
 投資家に対しコードの受け入れ表明を促している。次回の受け入れ表明投資家
 機関リストの公表は9月上旬が予定されている。
 
 スチュワードシップ・コードとは、責任ある機関投資家の諸原則である。本コ
 ードにおいて、スチュワードシップ責任とは、機関投資家が、投資先企業やそ
 の事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エン
 ゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促す
 ことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任として
 定義されている。この責任を実行するために、以下の7つの原則を掲げている。
 
 1.投資家責任を果たすための方針の策定と公表
 2.管理すべき利益相反についての方針の策定と公表
 3.持続的成長に向けた投資先企業の状況把握
 4.投資先企業と「目的を持った対話」を通じた認識の共有と問題改善
 5.議決権行使の方針と行使結果の公表に関する方針の策定
 6.スチュワードシップ責任の遂行状況について顧客・受益者に報告
 7.投資先企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う、適切な判断を行うた
  めの実力を備える
 
 ------<転載ここまで>------------------------------------------------
 
 今後は日本でも国内外の投資家からのエンゲージメントが本格化すると予想さ
 れます。新聞報道などでは物申すアクティビストとエンゲージメントとが混同
 されるきらいがありますが、エンゲージメントを行う投資家の多くは、いわゆ
 る短期的なリターンを目的に物申すアクティビストとは異なり、中長期的な企
 業価値創造と企業の持続性を望む投資家です。こうした投資家との建設的な対
 話を進めて理解を得ることが、企業にとっては安定的で持続性のある株主基盤
 作りにつながります。
 
 一方で、2006年に発表されたUN PRI(国連責任投資原則)が契機となり、財務
 面に加え、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)対応などの非財務側面を投
 資判断で考慮するESG投資の動きが世界的に急拡大しています。今や世界のESG
 投資の規模は620兆円となり、主要投資資産に占める割合は欧州で49%、米国
 は11%になっています。さらに、企業開示でも財務情報と非財務情報を、投資
 家をはじめとする利用者が使いやすく、より価値あるものとするための統合報
 告化が進められています。
 
 日本でも投資家と企業とのエンゲージメントが今後本格化するにつれ、非財務
 情報の開示がますます重要な意味を持ってくるでしょう。イースクエアでは、
 責任投資に関する数少ない専門家である荒井勝氏(社会的責任投資フォーラム
 会長)を特別顧問に迎え、企業のESG対応支援にも力を入れていきます。
 
 
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 〔2〕オルタナCSR monthly - 「タンザニアでもみ殻から固形燃料を作る」
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 イースクエアでは、オルタナが毎月発行しているニュースレター「CSR month
 ly」に「サステナビリティ・ウォッチ」と題して寄稿しています。このコーナ
 ーでは、オルタナ編集部の許可を得てその寄稿文をご紹介します。
 
 
   「タンザニアでもみ殻から固形燃料を作る」
   イースクエア 柳田 啓之
 
 瀬戸内海に浮かぶ因島(広島県尾道市)という小島に、ユニークな技術を持つ
 トロムソという社員 6 人の小さな会社がある。主力産業である造船業が活況
 だった 1970 年頃、因島は好景気に沸き、人口は約 45,000 人にも達したが、
 オイルショックや円高、中国や韓国との競争激化などにより船舶の受注量が減
 少し船価も低迷、かつて主力拠点を置いていた大手造船会社も島から撤退した。
 それに伴い島内の雇用は大きく減少、現在の人口はピーク時から 40%以上も
 少ない 25,000 人程度となっている。そのため、因島の経済にとっては造船業
 からの多角化が最優先課題となっている。
 
 トロムソの母体は、やはり船舶向けの部品・設備を製造する中小企業だが、ト
 ロムソ自体は、国内の農協や農業生産法人など向けに、お米を脱穀した際に出
 るもみ殻を原料にして薪のような固形燃料を作る装置「グラインドミル」を製
 造・販売している。幅 2.7m、奥行き 1.5m のコンパクトな装置にもみ殻を投
 入して 1 分もしないうちに、もみ殻が 10 分の 1 の容積に圧縮され、棒状の
 固形燃料になって出てくる。もみ殻には、熱をかけると固まる性質をもつリグ
 ニンという粘着成分が含まれるため、接着剤などを投入する必要はない。
 
 
 ・・・以下全文は下記PDFをご覧ください。
  https://www.e-squareinc.com/reports/pub_pdf/CSRmonthly_vol20_ES.pdf
 
 
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 〔3〕サービス紹介 - 「eラーニング」を使ったCSR教育
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 イースクエアでは、様々な切り口から企業のサステナビリティ戦略の策定・実
 行の支援を行っています。今回は「人材育成支援」のなかから「eラーニング」
 についてご紹介します。
 
 CSR意識を社内に浸透していくための一つの手段として、多くの企業でパソコ
 ンを活用したeラーニングによる教育が実施されています。eラーニングは受講
 時間に柔軟性がある、場所を問わない、個人の理解度に合わせて進め方を調整
 できる、受講状況が一元管理しやすいなどの特徴があります。
 
 イースクエアでは、集合研修はもちろんのこと、eラーニングを活用したCSR教
 育コンテンツの開発支援を行っています。
 
 「CSRとは何か」といった基本的な理解をしていただく内容から「ビジネスと
 人権」「コンプライアンス」「独占禁止法」「カルテル」など、各社のニーズ
 に応じて多様なテーマでのコンテンツ開発が可能です。
 
 CSR専門家としての知見に加え、テーマによっては外部専門家(国際弁護士等)
 のレビューを入れることで内容の信頼性を確保しつつ、受講者の視点に立った
 分かりやすさを追求する点が特徴です。
 
 詳細は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 
 
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 〔4〕イベント報告 - 「ワークショップ『新興国・途上国におけるCSR戦略』」
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 イースクエアが運営するサステナビリティ先進企業のネットワークであるフロ
 ンティア・ネットワーク(TFN)
 
  http://www.frontiernetwork.jp
 
 では、6月17日にインド・世界で活躍するサステナビリティ専門家をインドか
 らお招きしてワークショップを実施しました。インドでは、約60年ぶりに改正
 された新会社法が今年4月に施行され、世界で初めてCSRが義務化されました。
 今回のワークショップでは、CSR法制定の背景、現地企業に新たに生じる義務、
 インド社会で求められている活動などに加え、この制度により新たに生まれる
 ビジネスチャンスやその市場規模などについても理解を深めました。
 
 TFNでは、年間を通して、気候変動対策、人権、ESG投資、CSVなどサステナビリ
 ティ関連のテーマで多数のワークショップを開催し、サステナビリティと経営
 の統合に向けたご支援をしています。また、年に一度、先進企業、NGO、評価
 機関などを訪ねる海外視察ツアーも実施しています。
 
 少人数での密度の濃い議論や会員企業同士の切磋琢磨がTFNの特徴です。
 TFNの活動にご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。
 
 
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 〔5〕コンパスプラス - 「タンザニア干しいもプロジェクトがNHKの特集に!」
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 「コンパスプラス」はイースクエアスタッフによるブログです。
 その中から注目記事をピックアップしてご紹介します。
 
 
  「タンザニア干しいもプロジェクトがNHKの特集に!」
 
 イースクエアのホームページでもご紹介しましたが、イースクエアが昨年来支
 援しているタンザニアで干しいもを製造・販売するプロジェクトがNHKニュー
 ス「おはよう日本」で紹介される予定です。
 
 番組名:   NHKニュース「おはよう日本」
 放送地域:  関東(関東甲信越
 放送予定日時:6月11日(水)朝7:45-8:00の間(約5分)
 
 ・・・続きはこちら
  http://www.csr-compass.jp/member/plus/yanagida/nhk/
 
 「コンパスプラス」では、ブログ形式でスタッフが情報を随時掲載しています。
 ぜひご覧ください。
 
 
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 【編集後記】
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 6月16日から28日の2週間、タンザニアから8名の上級行政官が日本に滞在し、
 「地方農業開発」をテーマとしたJICAの研修コースを受講していきました。
 
 日本の省庁、地方自治体、農産品加工会社や農機メーカーなどに加えて、イー
 スクエアにも研修の一環として講義実施の依頼がJICAから入ったため、喜んで
 お受けしました。
 
 私に与えられたお題は「アフリカにおける農産品加工ビジネスの可能性と投資
 リスク」。残念ながらアフリカ全般のことを語る知見は持ち合わせておりませ
 んでしたので、タンザニアで事業化に取り組んでいる干しいも事業、もみ殻固
 形燃料製造装置のことを事例として、外国人の立場から見たタンザニアの魅力
 や課題、可能性などについてお話しさせて頂きました。
 
 座学講義の翌週にはJICA関西(神戸)にて、もみ殻固形燃料製造装置メーカー
 の(株)トロムソさんの協力の下、装置のデモ運転ともみ殻固形燃料を使った
 バーベキューを実施し、大いに盛り上がりました。
 
 8名の所属は農業省、産業省、政府系金融機関、地方自治体など様々でしたが、
 タンザニアでの再会を約してお別れしました。将来できるメードインタンザニ
 アの干しいもを手土産に彼らを訪問するのが楽しみです。
 
 今回のメルマガは意図せずしてタンザニア情報てんこ盛りになってしまいまし
 たが、出張先のケニア・ナイロビからの配信でした。(担当:柳田)
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 方や、イースクエアのイベントにご参加頂いた方にお送りしております。
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