2023年3月 3日

世界経済フォーラム(WEF)のブルーフードパートナーシップ(Blue Food Partnership)は、パナマで開催された「私たちの海洋会議(Our Ocean Conference)」で、世界の持続可能な水産養殖ロードマップ(仮訳)(Global Sustainable Aquaculture Roadmap)」を発表した。水産養殖業の持続可能な成長を強化することが狙いである。WEFブルーフードパートナーシップは、民間セクター、非政府・政府間組織、科学者、政府などのステークホルダーを集結し、健康で持続可能なブルーフードバリューチェーン確立に向けて科学に基づくアクションを促進する組織で、ロードマップ策定には水産養殖管理協議会(ASC)も参画している。

ブルーフードとは水産食品を意味する。世界で最も取引の活発な食品であり、カーボンフットプリントが陸上生産の食品より小さい品目も多く、気候変動に対するレジリエンスや食料・栄養安全保障の面からも重要視されている。ブルーフード需要は2050年までに倍増すると予測されており、そのほとんどは水産養殖で充足されると考えられている。現行の養殖手法は生息地や地域社会に悪影響となるケースもあり、重要な生息環境や生物多様性を保全し、自然を育みながら生産拡大を進めることが求められる。今回発表されたロードマップは、水産養殖業とそのバリューチェーンのシステム改革の方向性を示しており、水産養殖を根本的に自然・気候・栄養・公平な生活に結びつくものと位置付け、水産養殖の持続可能な成長を通じて社会・経済・環境向上の取り組みを加速させるとしている。