2023年3月 1日

国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP:The United Nations Guiding Principles on Business and Human Rights)に関する専門家らによる非営利団体であるShiftは、気候変動と人権に焦点を当てた次のレポート3件を発表した。

「気候行動と人権:国連指導原則はどのように企業の気候変動対応における人権尊重を支援できるか(仮訳)(Climate Action and Human Rights: How the UN Guiding Principles can help companies respect human rights when responding to climate change)」は、企業の気候変動対策にどうやって人権の視点を組み込むべきかを示すレポート。物理的な気候リスクや脱炭素移行リスクへの対応が人権に影響を与え、脆弱性を悪化させる場合があることを指摘している。公正な移行・公正なレジリエンスの必要性を強調し、気候変動軽減策と適応策の統合にUNGPを活用するアプローチを説明する。

「気候変動と人権:金融機関にとっての落とし穴を避けるために(仮訳)(Climate Change and Human Rights: Avoiding pitfalls for financial institutions)」は上記レポートの補足文書の位置づけで、気候変動と金融機関の行動、人権尊重の原則の関係について、以下の落とし穴に焦点を当てて考察している。

・事業リスクを重視し、人へのリスクに気づかない
・炭素しか目に入らず、気候変動の物理的リスクが人にもたらすリスクを見落とす
・インパクトの深刻度より、金融機関としての対策しやすさを優先する
・人権デュー・ディリジェンスの際に、気候リスクの間接的な影響を見逃す
・融資を通して顧客の脆弱性を悪化させてしまう

「気候変動の背景(仮訳)(Climate Change Background)」は、気候変動に関する入門書。気候変動の主要原因、1.5℃/2℃目標の重要性や対策の緊急性、IPCCのシナリオ、気候変動が企業に与える影響などについて解説し、ネットゼロ目標や炭素会計などの概念を紹介している。