2024年3月 7日

オランダの資産運用会社であるロベコはホワイトペーパー「生物多様性ランドスケープをナビゲート - 意思決定に有効な生物多様性データの追求 - (仮訳)(Navigating the biodiversity landscape: Hunting for decision-useful biodiversity data)」を公表した。本ホワイトペーパーでは、生物多様性データの概況と一般的なアプローチを分析し、ロベコの対応状況について概説している。

生物多様性は、投資家にとって重要な課題と認識されつつあるが、生物多様性に関連した投資判断を下すには、適切なデータを見つけることが難しい。気候変動とは異なり、生物多様性の損失と影響を測定するための世界的に認められた方法はない。また、生物多様性フットプリントの計算はさまざまな影響を一つの数値にまとめることを目的としているが、独自の課題がある。さらに、政策や規制、投資において、生物多様性の単一の尺度に依存することはない。そのため、今後も生物多様性に関するさまざまなツールが開発され続けると予想している。

また、TNFDのデータカタログには100種類以上のツールが掲載されており、リソースとしては十分だが、どのツールを選択して評価すべきかが明確ではないのが現状である。

ロベコは生物多様性に関する既存のデータを評価した結果、次の見解を示した。

  • 生物多様性の状況を適切に解釈するためには、データを慎重に利用する必要がある。生物多様性は簡単に理解したり一つの数値にまとめたりはできない。セクターレベルでの影響や依存関係を理解するための有用なデータセットはあるが、発行体レベルで投資判断をするには適していない。
  • 投資の舵取りをするためには、生物多様性のデータソースをほかの発行体レベルのデータと組み合わせる必要がある。ロベコは、生物多様性への投資フレームワークにおいて、このハイブリッド・アプローチを採用することでリーダー企業を特定する。
  • 最善のアプローチは自然に関して最も重要なセクターに焦点を絞ることである。ロベコは、化学、食品、金属・鉱業、繊維・アパレルセクターを優先して調査を継続する。


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