2016年9月28日


2016年夏に記録的な温暖化が進行したことが、複数の研究機関や国際機関の報告でわかった。


◆NOAA、 8月の平均気温の記録更新を観察

米国海洋大気庁(NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration)、NASAゴダード宇宙科学研究所、欧州中期気象予報センターのデータによると、今年8月の気温は史上最高だった7月に続き過去最高記録となった。またこれまで16ヶ月間連続して毎月過去最高気温を記録しており、1月から8月の平均気温は、20世紀の平均気温を摂氏1.01度、昨年より摂氏0.16度上回っている。


◆NSIDC、北極の観測史上2番目となる海氷域面積を観察

米コロラド大学の国立雪氷データセンター(NSIDC: the US National Snow and Ice Data Center)は、9月10日に北極の海氷域面積が観測史上2番目に低い414万平方キロメートルになったと発表した。世界気象機関(WMO: World Meteorological Organization)によると、北極では世界平均の少なくとも2倍の早さで温暖化が進んでおり、海氷や積雪の融解の影響による海流・気流パターンの変化や、永久凍土の融解による温室効果ガスの大量放出の可能性がある。また、北極航路の利用が進むにつれて、事故や石油流出などのリスク増加が懸念されている。WMOでは2017年半ばから2019年半ばまでを極域予測年と位置づけ、年間を通して南北両極で観測やモデリングを行うという。


◆NOAA、海面温度の最高記録を観察

また、NOAAのデータによると、世界平均海洋表面温度も今年8月に観測史上最高値を記録した。海洋は、地球温暖化による気温上昇効果を90%吸収する役割を果たしているほか、人為的CO2排出量の3分の1を吸収している。世界気候研究計画(WCRP: World Climate Research Programme)の気候変動及び予測可能性研究計画(CLIVAR: Climate Variability and Predictability Project)は、スーパー・エルニーニョ現象など海洋と地球気候の相互作用について考察するため、中国青島市で国際会議を開催した。


◆NOAA、大気中の二酸化炭素濃度の400ppm突破を観察

NOAAによると、今年は大気中の二酸化炭素濃度が400ppmを突破し、7月の平均は401.72ppmだった。パリ協定批准促進の目的で9月21日に潘基文国連事務総長が開催したハイレベル・イベントでは、WMOが、記録的猛暑の長期的な継続、温室効果ガスの濃度上昇、サンゴ礁の白化進行、長期的な北極海氷融解傾向といった問題を挙げ、パリ協定の施行が急務であると訴えた。