2015年7月 6日


国連は、2015年を目標年として2000年に策定した「ミレニアム開発目標(MDGs)」の最終報告書を発表した。MDGsでは8つの目標に対して21の具体的なターゲット及びそれに基づく60の指標が設定されており、報告書では、これらの指標について、1990年を基準値とした達成度を地域別に公表している。

本報告によると、設定された8つの目標は、未達成の目標も残すが、世界的に大幅に改善されたと報告した。貧国の撲滅では、1990年には約19億人が極度の貧困状態(1日1.25ドル以下で生活)であったのに対して、2015年には8億3,600万人と半分以下の割合に減少した。また、児童の就学率、教育の男女格差、乳児死亡率、妊産婦の健康、HIVやマラリア、結核の感染者数、安全な飲料水へのアクセス、インターネットの普及などが大きな改善を見せた。

ただ、課題も多く残っている。飢餓人口を半減、乳児死亡率を3分の1に減らす、といった目標は達成されていない。また、目標の達成度は国や地域により大きな格差が生じている。さらに、紛争が人類の開発にとって最大の脅威となっていることも指摘している。紛争地域では貧困率が高い状況が続き、就学していない児童の割合も1999年の30%から2012年には36%に増加している。環境面では、二酸化炭素の排出量は1990年から世界的に50%以上増加し、水不足は世界人口の40%に影響を与えており、今後も増加すると予測される。

潘基文国連事務総長は、「極度の貧困はあと一世代でこの世からなくせるところまで来た。MDGsは、こうした進歩に大きく貢献し、政府、ビジネス、市民社会が協働することで世界を転換させるブレークスルーを成し遂げられることを示した」、「『持続可能な開発目標(SDGs)』を含むポスト2015開発アジェンダをMDGsの成功の上に築き、すべての国が強く結束してさらに繁栄した持続可能で平等な世界への道を進まなければならない」と述べた。