2019年6月12日

英国テレーザ・メイ首相は、2050年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにすることを発表した。2050年までに1990年比80%削減するとしている現在の2008年気候変動法は改正され、さらに高い目標を設定することとなる。法制化されればG7諸国の中で初めてとなる。
これは、専門家による独立した組織である同国の気候変動委員会(CCC:Committee on Climate Change)からの勧告に沿った内容である。経済成長や雇用の創出に加え、大気汚染改善により健康被害が減り公的健康保険制度の負担軽減にもなるし、生物多様性の向上にもメリットがあるとしている。

英国はこれまでも排出量の削減が見込まれる市場を大きく成長させてきており、既に同国では低炭素産業においてサプライチェーンに渡り約40万人の雇用がもたらされている。産業戦略として、今後もクリーンな成長への投資を継続し2030年までには200万人の質の高い雇用を生み出すとしている。気候変動でリーダーシップをとることにより、英国の競争力を保ち、長期的繁栄を享受できるとしている。

ただし英国単体での実行ではなく、その他の経済大国が英国の決定に続くことが必要不可欠だとしている。英国は同国の産業が不当な競争に陥ることがないよう、5年以内に他国の状況について調査を実施する予定。

なお、この発表の前5月30日に、企業や投資機関、団体約100以上で首相宛に書簡を送り、CCCの勧告に沿った政策を推進することを要請している。2050年までにゼロエミッションとする目標を法制化することを求めていた。企業からはユニリーバ、シェル、コカコーラ、BTなどの大手企業や、日系としては三菱電機、そのほか、PRIやIIGCC、CDPといった国際機関も名を連ねている。