2022年7月19日

米国務省人身取引監視対策部は「人身取引報告書(仮訳)(Trafficking in Persons Report)」の2022年版を公表した。本報告書では「2000年人身取引被害者保護法(TVPA)」の基準に基づき、政府の人身取引撲滅への取り組みを評価して、各国・地域を4段階にランク付けしており、日本は3年連続、上から2番目の第2階層(Tier2)とランク付けされた。

日本の国別評価では、日本政府は前年度と比較して全般的に大幅な取り組み強化がみられ、第2階層を維持したとされた。政府が4人の技能実習生を人身取引被害者として初めて公式に認定、また国民意識向上キャンペーンを継続的に実施したことが評価された。一方、政府はいくつかの重要な分野で基準を満たさないままで、あらゆる形態の人身取引に対処し、被害者を特定・保護するという政治的意志が引き続き欠如しているとされた。

報告書では特筆すべきトピックとして、中国の「一帯一路」構想における強制労働、クリーンエネルギー産業で必須の鉱物の採掘における強制労働・児童労働(中国の新疆ウイグル自治区の金属ケイ素、コンゴ民主共和国でのコバルト採掘)、そして気候変動による環境悪化を受けて社会的に脆弱な人々の搾取の深刻化などを取り上げた。