T-Hub_2.png

T-Hub:インドのイノベーション・エコシステムの中核拠点

ハイデラバードに位置する「T-Hub(ティーハブ)」は、インドのイノベーション分野における重要な拠点として成長してきました。2015年に、テルングナ州政府、IIIT-HyderabadISBなどの有力な学術機関、そしてTech MahindraCyientといった民間企業による官民連携で設立されたT-Hubは、スタートアップの支援と異業種連携によるイノベーションの促進を目的としています。

 

テルングナ州のイノベーション戦略における位置づけ

T-Hubは、テルングナ州における複数のイノベーション推進機関の一つとして機能しています。他には、女性起業家を支援する「WE Hub」、試作施設の「T-Works」、研究連携を促進する「RICH(ハイデラバード研究・イノベーション・サークル)」、そして州政府のイノベーション推進部門「TGICTelangana Government Innovation Cell)」などが存在します。これらの機関と連携することで、T-Hubは地域全体での起業・研究・人材育成を支えるエコシステムの一端を担っています。 T-Hubは、スタートアップ、企業、大学、投資家、行政機関などの関係者をつなぐ「イノベーション仲介機関」として、さまざまなプロジェクトやプログラムを企画・実施しています。

 

施設と機能

T-Hubの施設は約585千平方フィートに及び、最大で1,000のスタートアップが入居可能です。コワーキングスペース、会議室、イベントホールに加え、AIや機械学習などの技術インフラを備えたラボが利用できます。さらに、デジタル決済、サイバーセキュリティ、モビリティ、地理空間技術、社会的イノベーションなどに特化した 8つの「センター・オブ・エクセレンス(CoE)」 が併設されています。 これらのセンターでは、スタートアップと企業・行政機関との共同研究や実証実験、ソリューション開発が行われています。

スタートアップ支援プログラム

T-Hubは、スタートアップの成長段階に応じた4つの主要プログラムを展開しています:

  • BlitZ:アイデア創出・初期検証向け
  • Rubrix:製品開発・プロトタイプ完成支援
  • Lab32:市場進出と収益化サポート
  • T-Angel:資金調達および投資家対応支援

これらのプログラムの選考率は約3%と非常に厳しく、支援を受けたスタートアップは、これまでに総額6億ドル以上の資金調達を実現しています。

 

国際連携とグローバルネットワーク

T-Hubは、国際的な連携を重視しています。インド国外から200社以上のスタートアップのインド市場参入を支援するとともに、300社以上のインド発スタートアップが海外展開するためのサポートも行っています。Invest IndiaStartup Indiaなどの政府系機関、世界40か国以上のアクセラレーターと協力し、さまざまな国際プログラムを実施しています。また、企業が抱える課題に対してスタートアップの技術で解決を図る「イノベーションチャレンジ型プログラム」も行っており、ルノー・日産やマルチ・スズキなどがこの取り組みに参加しています。

 

日本企業・団体との連携

T-Hubは、日本のスタートアップや企業との連携にも積極的です。これまでに JETRO(日本貿易振興機構) や J-StarX(経済産業省のグローバルスタートアップ育成事業) と連携し、ピッチイベントやマッチングセッションを開催してきました。 これらの取り組みにより、日本のスタートアップはインド市場に対する理解を深め、インド側も日本の先端技術やビジネス文化について学ぶ機会を得ています。また、スズキ、三菱電機といった企業が、T-Hubと連携して製造業やスマート工場分野の課題解決に取り組んでおり、両国の技術交流が進んでいます。

 

広がるパートナーシップ

T-Hubは、技術企業(MicrosoftAWSSalesforceなど)、金融機関(ICICI銀行、HDFC銀行など)、大学(IITボンベイ、IIMバンガロールなど)といった幅広いパートナーと連携しています。また、インド政府の「Atal Innovation MissionAIM)」や科学技術省の支援を受けたAI/MLプログラムとも協調しています。 このような多層的なパートナーシップにより、T-Hubはスタートアップ支援にとどまらず、国家規模のイノベーション戦略とも連動した取り組みを進めています。

 

評価と今後の展望

T-Hubは、インド政府機関からも高く評価されています。2022年には科学技術省より「インド最高のインキュベーター」に、2023年には商工省より「最優秀テクノロジー・ビジネス・インキュベーター」に選出されました。 今後も、T-Hubはスタートアップと企業、行政、大学との連携を促進しながら、国内外のイノベーション・エコシステムを結びつける「ハブ」としての役割を担い続けると考えられます。

 インドのスタートアップハブに関する調査の一環として、イースクエアは現在、T-Hubと連携し、日本企業にとって有用となり得る技術ソリューションを持つインドのスタートアップの発掘に取り組んでいます。貴社の技術的課題に対して、革新的かつコスト効率の高いソリューションを共に見つけ出す機会をいただけますことを楽しみにしています。

 

イースクエアは海外展開・進出に係る補助・助成金申請支援も行っております。これまでに多くの支援実績がございますので、ご興味がある方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。 

中小企業の海外展開を強力にバックアップします

進出先選定、市場調査、実現可能性調査(F/S)、公的機関の支援活用など、事業の立ち上げをワンストップでご支援します。 海外展開にご関心がある方はお気軽にお問い合わせください。

問い合わせ.png

イースクエアの公的機関(JICA、環境省、経産省など)スキームを活用した支援実績は以下よりご覧いただけます。 

https://www.e-squareinc.com/AchievementList.pdf