JICA民間連携事業終了後のインドでの事業展開の好事例(続編) ~ 大成工業株式会社(鳥取県)~
本記事は2024年4月3日の記事「JICA民間連携事業終了後のインドでの事業展開の好事例~大成工業株式会社~」の続編です。
背景、大成工業株式会社とTaisei Soil System(TSS)の概要、インドでのJICA民間連携事業(案件化調査および普及実証ビジネス化事業)の実施と結果については、上記の記事をご覧ください。
令和5年度「鳥取県海外展開牽引企業創出補助金(②プロジェクト連携型外需獲得事業)」を活用した市場調査の実施と結果
JICA民間連携事業を通じて得られた現地での普及の課題である設置にかかるコスト削減の課題等を受けて、現地サプライヤー等のさらなる調査の必要性が出てきました。そこで、令和5年度「鳥取県海外展開牽引企業創出補助金」に応募したところ、交付決定を受け、2024年2月から8月にかけて調査を実施しました。
インドでは、一定の条件を満たす企業に対して、会社法によりCSR活動に資金を拠出する義務*があります。そこで、大成工業はTSSのさらなる普及を目指して、同補助金を活用し、現地企業のCSR資金を活用したTSS普及の可能性に関する市場調査を実施しました。具体的には、CSR活動としてTSSの導入に興味がある現地日系企業の調査を行いました。また、TSSの現地化を目的に、TSSの現地生産の可能性を調査し、現地進出に向けた現地パートナー候補の開拓を行いました。
これらの調査の結果、インドでのCSR資金を活用したTSSの導入に興味を示した日系企業が多数あり、ビジネス化につながる可能性があることを確認できました。しかし、普及のためには導入コストの削減が必要であり、調査の中で特定した現地パートナー候補の施工会社や資材サプライヤーのさらなる精査を行うこととなりました。
*インドでのCSR資金拠出に関する詳細は、こちらをご確認ください。
令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」を活用したFS事業の実施
大成工業は、経済産業省が実施する「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(令和5年度補正予算)」に採択され、2025年5月からFS事業を実施しています。本事業では、TSS技術の現地化を目指し、現地生産拠点の設立に向けた現地サプライヤーおよび製造販売パートナーの調査を実施することで、TSSの現地生産販売体制の構築を目指します。また、TSS技術をインドのターゲット都市地域(デリー、バラナシ、バンガロール、チェンナイ等)に広く普及するために、各地域における現地化モデルの販売代理店ネットワークの構築に向けた可能性を調査します。実施期間は、2025年5月から2026年2月です。
令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」の概要(すでに公募は終了)
事業目的 |
経済産業省は、グローバルサウス諸国が抱える課題を解決することを通じて当該地域の市場の成⻑⼒を活かし、日本国内のイノベーション創出等により国内産業活性化を目指すと共に、グローバルサウス諸国との経済連携を強化や本事業の実施による事業実施国への裨益を実現するため、本邦企業が行うインフラ等の海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(以下「FS事業」)及び小規模実証事業(以下「実証事業」)の実施に必要な費用の一部を補助します。 |
対象事業 |
インフラ等プロジェクトの具体的案件組成や受注・事業化に向けた「FS事業」または「実証事業」 |
対象国・地域 |
グローバルサウス諸国(ASEAN、インド、中東、アフリカ、中南米、太平洋島嶼国等)(対象国の判断に迷う場合は都度、事務局に相談のこと) |
対象となるインフラ等 |
① 経済インフラ(情報通信、エネルギー、交通、都市基盤等) ② 社会インフラ(医療、介護ヘルスケア、農業・食品、廃棄物処理等) ③ デジタル・プラットフォーム等 |
事業類型 |
類型1:我が国のイノベーション創出につながる共創型 類型2:日本の高度技術海外展開型 類型3:サプライチェーン強靱化型 |
補助金の額及び補助率 |
補助金上限金額:補助額(補助対象経費に補助率をかけた額)の上限は以下とします。 ① FS事業 :上限1億円 ② 実証事業 :上限5億円 ※共同申請の場合は、共同申請者全体を含めた上限額 補助率:1/2以内、中小企業のみ2/3以内 |
実施期間 |
① FS事業 :交付決定日から2026年2月28日(土)まで ② 実証事業 :交付決定日から2026年2月28日(土)まで |
出典:令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」の公募説明会資料を基に作成。https://gs-hojo-web.jp/assets/files/setsumeikai_250115.pdf
「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」にご興味がある方へ
現在、令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」の一次公募が行われています(2025年6月5日(木)12:00締切)。対象国・地域や補助金額、補助率などには変更はありませんが、対象となる分野がGX分野、DX分野、経済安保分野の3つに限定されたことが令和5年度補正予算との大きな違いです。
令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」の概要
事業目的 |
経済産業省は、グローバルサウス諸国が抱える課題を解決することを通じて当該地域の市場の成⻑⼒を活かし、日本の経済安全保障(サプライチェーン強靱化等)の確保及び日本国内のイノベーション創出等により国内産業活性化を目指すと共に、グローバルサウス諸国との経済連携を強化するため、本邦企業が行うインフラ等の海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(以下「FS事業」)及び小規模実証事業(以下「実証事業」)の実施に必要な費用の一部を補助します。 |
対象事業 |
インフラ等プロジェクトの具体的案件組成や受注・事業化に向けた「FS事業」または「実証事業」 |
対象国・地域 |
グローバルサウス諸国(ASEAN、インド、中東、アフリカ、中南米、太平洋島嶼国等)(対象国の判断に迷う場合は都度、事務局に相談のこと) |
対象となる分野 |
① GX分野:化石燃料からクリーンなエネルギー利用への転換を図る案件 ② DX分野:デジタル技術を用いて、ビジネスモデルの変革を図る案件、例)エネルギー×DX、医療・ヘルスケア×DX、防災・気候変動×DX等 ③ 経済安保分野:「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令」で指定された「特定重要物資」に係る案件 |
事業類型 |
類型1:我が国のイノベーション創出につながる共創型 類型2:日本の高度技術海外展開型 類型3:サプライチェーン強靱化型 |
補助金の額及び補助率 |
補助金上限金額:補助額(補助対象経費に補助率をかけた額)の上限は以下とします。 ① FS事業 :上限1億円 ② 実証事業 :上限5億円 ※共同申請の場合は、共同申請者全体を含めた上限額 補助率:1/2以内、中小企業のみ2/3以内 |
実施期間 |
① FS事業 :交付決定日から2026年8月31日(月)まで ② 実証事業 :交付決定日から2026年8月31日(月)まで |
出典:令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」の公募説明会資料を基に作成。
https://gs-hojo-web-fspoc.jp/assets/files/setsumeikai_fspoc_250520.pdf
イースクエアでは、「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」 などの公的補助金を活用した海外展開の支援を実施しています。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
参考情報:
JICA案件化調査(中小企業支援型)環境配慮型トイレの導入にかかる案件化調査 業務完了報告書、http://libopac.jica.go.jp/images/report/12290813_01.pdf、http://libopac.jica.go.jp/images/report/12290813_02.pdf
JICA普及・実証・ビジネス化事業(中小企業支援型)環境配慮型トイレの導入にかかる普及・実証事業 概要、https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/826/F171011_summary.pdf
大成工業株式会社 ホームページ、TSS無放流処理装置カタログ(2017/05/15更新)、https://www.taisei-kg.co.jp/pdf/tss_ct.pdf
鳥取県海外展開牽引企業創出補助金、https://www.pref.tottori.lg.jp/312657.htm
令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」、https://gs-hojo-web.jp/
令和6年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」、https://gs-hojo-web-fspoc.jp/?utm_source=gs1&utm_medium=referral&utm_campaign=news_link&_fsi=feHbZtC0&_fsi=feHbZtC0
株式会社イースクエア ホームページ、インド進出 SDGsを組み込んだ中小企業の海外展開、https://www.e-squareinc.com/library/overseas-business/sdgs.html