令和6年度補正予算 グローバルサウス未来志向型共創等事業 第2回公募に向けた応募ガイド
途上国・新興国に海外展開をしようとしている企業に注目されているのが、経済産業省が実施している「グローバルサウス未来志向型共創等事業(通称:グローバルサウス補助金)」です。
令和6年度補正予算に基づく第1回公募は2025年春から夏にかけて実施されましたが、第2回公募が2025年11月(FSおよび小規模実証)、12月(大型実証)に予定されています。
イースクエアでは、グローバルサウス補助金の申請支援をはじめ、採択後の事業運営・報告・清算まで一連のプロセスをサポートしてきました。本記事では、公募制度の概要、応募要件、補助対象内容、採択案件の傾向、そしてイースクエアが提供する支援内容をご紹介します。
グローバルサウス未来志向型共創等事業とは
グローバルサウス未来志向型共創等事業(通称:グローバルサウス補助金)は、経済産業省が実施している補助金スキームであり、海外の現地企業・機関等との協働による実証事業を支援し、日本企業の新たな海外展開や産業基盤の強化につなげることを目的としています。内容や事業規模によって、FS事業、小規模実証事業、大型実証事業に分かれています。
応募対象と補助内容
応募対象
公募要領では、応募対象は「日本に本店を有する法人」とされています。
法人格を持たない個人は対象外で、FSや実証活動を経て、新興国・途上国で事業を行っていく事業者を想定しています。
対象国・地域
- 経済産業省が指定する新興国・途上国(アジア、アフリカ、中南米など)。
対象分野
- 特定分野の限定はなく、応募案件が「我が国のイノベーション創出につながる共創型」「日本の高度技術海外展開型」「サプライチェーン強靱化型」のいずれかに該当することが要件です。
- また、2025年度第1回公募では、GX分野(GHG排出削減)、DX分野(デジタル技術活用)、経済安全保障分野のいずれかに当てはまる案件が対象となりました。
補助対象経費
- FS事業
市場調査や現地ニーズ分析に要する費用、渡航費、コンサルティング費、人件費や外注費など、調査を遂行するために必要な経費が対象です。 - 小規模実証事業・大型実証事業
FS事業の補助対象経費に加えて、実証のために導入する機械設備の費用が対象となります。
補助率・補助上限額
- 中小企業:補助率2/3以内
- 大企業:補助率1/2以内
- FS事業:補助上限 1億円
- 小規模実証事業:補助上限 5億円
- 大型実証事業(ASEAN/非ASEAN):補助額 下限 5億円超〜上限40億円
事業スキームと事務局
FS事業・小規模実証
- 事務局:TOPPAN株式会社
- 位置づけ:事業化前段階の調査や小規模実証を支援
大型実証(ASEAN向け)
- 事務局:一般財団法人海外産業人材育成協会(AOTS)が受託し、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社が運営
- 位置づけ:ASEAN諸国でのGX・DX・経済安全保障関連の大規模実証
大型実証(非ASEAN向け)
- 事務局:TOPPAN株式会社
- 位置づけ:アフリカ・中南米・南アジア等における大規模実証
採択案件の傾向
採択率・件数
- FS事業・小規模実証(第1回・2025年6月締切)
応募144件のうち71件が採択され、採択率は49%でした(経済産業省発表)。 - 大型実証(ASEAN加盟国向け・第1回7月締切)。
応募件数・採択件数は現時点で公表されていません。2024年8月に発表された令和5年度補正予算第1回公募では、24件の応募に対して13件が採択され、採択率は54%でした。2025年3月に発表された令和5年度補正予算第2回公募では、14件の応募に対して7件が採択され、採択率は50%でした。 - 大型実証(非ASEAN向け・第1回7月締切)
採択件数については現時点で公表されていません。
地域・国別の傾向
- アジア地域が採択案件の中心
採択案件の過半数はアジアに集中しています。中でも インドが突出しており、医療DX、教育DX、農業のスマート化、製造業の高度化など多様な分野で採択が見られます。
また、ベトナム、インドネシア、マレーシアでも多数の案件が採択されており、農業効率化や食品付加価値化、海洋資源の活用、部品産業の現地展開など、事業化を視野に入れたテーマが特徴的です。 - アフリカ地域
ケニアやウガンダを中心に、水・衛生、医療、再生可能エネルギーといった生活基盤に直結する案件が多い傾向です。 - 中南米地域
ブラジルなどで、農業の持続可能性や再生型農業に関連する案件が見られますが、件数は少数にとどまります。 - 太平洋島嶼国
パラオなどでは、遠隔医療や教育DXといった小規模ながら地域特有の課題に対応する案件が採択されています。
業種・分野の特徴
(公募要領で分野は限定されていませんが、採択案件には以下の傾向が見られます)
- 医療・ヘルスケア:遠隔診療、母子保健、健康アプリなどDXを活用したサービス。
- 教育・人材育成:職業教育のDX化、エンジニア育成、技能移転。
- 農業・食料:スマート農業、再生型農業、食品加工の付加価値化。
- 環境・エネルギー:再生可能エネルギー、廃棄物資源化、水処理・浄化技術。
- インフラ・都市課題:交通渋滞解消、洪水監視システム、地域電力供給モデル。
採択案件に共通する特徴
- 現地課題の明確化:地域特有の課題を把握し、定量的データを用いて整理している。
- 先端技術との融合:IoT・AI・DX技術などを活用した革新的ソリューション。
- 持続可能性の重視:補助金終了後も継続できるビジネスモデルを提示している。
- 現地との協働:企業・大学・自治体・政府機関など、現地パートナーとの具体的な協力体制を構築している。
- 日本への波及効果:現地での事業展開に加え、日本国内の技術開発・人材育成・産業強化に資する要素を含んでいる。
申請手順とスケジュール
令和6年度補正予算に基づくグローバルサウス補助金は、第2回公募が2025年11月(FSおよび小規模実証)、12月(大型実証)に予定されています。下記の要領でお早めに応募準備をされることをお勧めします。
準備ステップ
- 事業計画の整理
- 現地ニーズ調査
- パートナー候補との連携
- 公募要領の精読と審査基準の確認
書類作成の留意点
- 現地課題を定量的に示し、自社技術との整合性を明確化
- 実現可能性と社会的インパクトを両立させるストーリー構築
- 3つの事業類型(共創型/海外展開型/サプライチェーン強靱化型)のいずれかに合致していることを明確に記載
- 採択後の持続可能性や波及効果まで見据えた計画とする
提出後の流れ
- 書類審査
- ヒアリング審査(必要に応じて)
- 採択決定通知
- 事業開始 → 中間報告 → 最終報告 → 清算
イースクエアの支援メニュー
イースクエアは、これまでグローバルサウス補助金を含め、多数の採択実績を持ち、補助金申請から事業実施・報告・清算までワンストップで伴走してきました。特に海外展開に伴う「現地調査」「パートナー連携」「制度対応」の経験が豊富であり、企業が自力では難しい部分を手厚くサポートします。
イースクエアでは以下の案件を含め、複数の案件をご支援しています。
株式会社トロムソ
「ベトナム国/バイオ炭活用による農業の生産性向上と低炭素化の実証事業」(大型実証・ASEAN)
株式会社木村鋳造所
「インド/鋳造要素技術イノベーションを中心とした鋳造CoEおよび発展的CoE形成可能性調査事業」(FS事業)
公募資料作成支援
- 採択案件の知見を活かした申請書ドラフトレビュー
- 公募要領の審査基準に沿った事業計画構成の整理
- 過去採択案件の成功要因を取り入れたブラッシュアップ
予算立案・コスト計算
- 補助率を踏まえた最適な費用配分の設計
- 人件費・外注費・機械設備費など区分の整理と適正化
- 精算時に不備が生じないよう会計処理のポイントを事前反映
調査計画・現地調査支援
- 現地ニーズ調査の設計とデータ収集手法の策定
- 現地企業・大学・政府機関とのパートナー探索と連携支援
- 調査渡航の企画、通訳・調査設計、現地政府との調整サポート
報告書作成・清算サポート
- 実施報告書・成果報告書の効率的な作成支援
- 経費精算・証憑整理のサポートと不備防止対応
- 長期事業の進捗報告や中間報告書作成の支援
全体進行管理
- 公募開始から採択、事業完了までのスケジュール設計とタスク管理
- 経営層・実務担当・現地パートナーをつなぐプロジェクトマネジメント支援
イースクエアでは、アジアやアフリカ等の途上国・新興国での多数のプロジェクト経験に加え、様々な民間企業でのビジネス経験を有するコンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、補助金獲得や補助金案件の運用を含めたお客様のニーズに合わせて、オーダーメイドで海外ビジネス展開をご支援しています。グローバルサウス補助金を使ったご支援の実績も複数ございます。
ご興味がある方はお気軽に以下よりお問い合わせください。
中小企業の海外展開を強力にバックアップします
進出先選定、市場調査、実現可能性調査(F/S)、公的機関の支援活用など、事業の立ち上げをワンストップでご支援します。 海外展開にご関心がある方はお気軽にお問い合わせください。