2部では、現地の社会課題や市場ニーズを理解し、それに基づく仮説を構築するまでのプロセスを解説しました。第3部では、これらの仮説を実際に現地で検証するための「現地調査」の進め方を紹介します。

現地調査は、机上の情報や仮説では見えてこなかった実態を明らかにし、ビジネスモデルの精度を高める上で極めて重要なステップです。調査を通じて、対象とする顧客層のニーズ、生活実態、文化的背景、流通環境などを正確に把握することができます。

 

ステップ3:現地調査を実施し、仮説を検証する

仮説のビジネスモデルを作成したら、その仮説の検証のために現地調査を実施します。特に、社会課題解決型ビジネスの検討においては、現地に行ってみることで、事前の情報やオフィスで検討されたビジネスモデルはまったく見当違いであったなど、新しい事実を発見することが多分にあります。その際、作成したビジネスモデルに固執するのではなく、現地で得た情報からすぐにビジネスモデルの再検討、さらに追加のヒアリング調査などを実施することでビジネスモデルの精度を上げることが重要です。

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1. 現地調査の目的と準備

まず、現地調査の目的を明確にし、事前に設定した仮説に対してどの情報を収集するかを整理します。仮説の各構成要素(顧客セグメント、価値提案、チャネル等)に、調査項目を設定することが有効です。

 

2. 現地アポイントの取得:

潜在顧客、事業パートナー、現地政府機関、NGO等へのアポイントメントを取得し、面談やヒアリングを実施します。JICAJETROUNIDO(国連工業開発機関)といった公的機関のネットワークを活用することで、スムーズな調整が可能になります。

 

※現地アポイントメント取得の協力支援例

JICA在外事務所:国によっては民間連携/中小企業支援担当が常駐

JETRO在外事務所:海外ブリーフィングサービスにて現地企業リストなどの情報を提供

③ 在外公館(日本大使館、総領事館など):国によっては日本企業の現地進出を支援

UNIDO(国連工業開発機関):現地の投資促進機関や産業界との繋がりから、現地パートナーの紹介なども可能

⑤ 現地NGO:他国オフィスや協力団体との繋がりがある

⑥ 国内外展示会:国内展示会における海外からの出店企業発掘や、JETROの「世界の見本市・展示会情報  (J-messe)」から現地開催の展示会スケジュールなどが確認できる

⑦ 現地日本人会・商工会議所:組織に加入しなければ紹介を受けられない場合もある

⑧ 国内取引先の海外支店、および自社の取引先銀行や保険会社:金融機関はビジネスマッチングの一環で現地支店担当者を紹介するケースがある

⑨ 自社所在の自治体や業界団体:自治体によっては海外展開支援として現地商談会を支援している

 

3. ヒアリングの実施

実際の利用者や関係者に対するインタビューでは、価値観、消費行動、生活習慣などの定性情報を中心に収集します。想定していたニーズとのズレや、新たな課題が浮き彫りになることも多く、仮説の見直しに直結します。

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4. 仮説の再検討とモデル修正:

調査結果をもとに、仮説を検証し、必要に応じて再構築します。この再構築プロセスを短期間で繰り返すことにより、現地の実態に即したビジネスモデルへと進化させていきます。

 

5. 将来のパイロット事業への布石:

現地調査の最終段階では、将来のパイロット事業を想定した仮説の精度を確かめるとともに、テスト実施に向けたパートナー候補やインフラ環境の確認も重要になります。

 

3部では、構築した仮説をもとに実地調査を行い、現地のリアルな声や実態に触れることで、ビジネスモデルの妥当性を高めていくプロセスを紹介しました。次回の第4部では、仮説をもとにした小規模なパイロット事業の設計・実施方法について解説し、実践的な事業展開へとつなげていきます。

 

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https://www.e-squareinc.com/AchievementList.pdf