CDPの分析報告書、気候データ活用で投資額の21倍のリターン
2025年8月 6日
CDPは最新の分析レポート「2025年 情報開示の配当(仮訳)(The Disclosure Dividend 2025)」を発表した。気候変動リスクに対応する企業には、投資1米ドルあたり最大21米ドルの利益がもたらされることを明らかにした。また、気候変動による物理的リスクの緩和に取り組む企業は、投資額に対して最大21倍の利益(リターン)を生み出していると報告した。この調査は、2024年に約2万5,000社の開示データを基に算出したもので、企業が環境への行動を実施することにより得られる機会は、1社当たり中央値で3,310万米ドルに相当し、そのコストはわずか460万米ドルにとどまっている。
また、64%の開示企業が環境関連のビジネス機会を特定し、そのうち12%は2024年だけで総額4.4兆米ドル相当の価値を創出した、さらに、未実現の機会は13.2兆米ドル規模に上ると推計される。地域別では、日本企業が1社あたり7,300万米ドルと最大で、カナダ企業が7,200万米ドルと最大の機会を認識しており、米国(1,500万米ドル)、中国(1,000万米ドル)を大きく上回った。
一方、対策を取らない場合の経済的コストは増大し、2050年までに38兆米ドルに達すると予測される。報告はまた、CDPに開示する大企業の90%が環境依存・影響・リスクと機会を特定・評価するプロセスを整備済み、または2年以内に導入予定であるとし、43%が移行計画を既に実施していることを明らかにした。
CDPのCEO シェリー・マデーラ氏は、「環境へのインパクトを測定し管理している企業は、事業面で将来に備えているだけでなく、財務的、戦略的な利益を生み出している。情報開示がもたらす利益は現実のものであり、それを享受するためのビジネスケースはかつてないほど強くなっている」と述べている。