2025年2月28日

日本企業の役員に占める女性割合向上を目指して活動する 30%クラブジャパンにおけるワーキンググループの一つであるインベスターグループは、「好事例の成功要因」アンケート調査 の結果を公表した。本調査は、同グループが過去に発行した「投資家の視点から見たDE&I情報開示の好事例」(2024)などのレポートで取り上げた好事例企業12社を対象にアンケート調査を実施し、好事例企業各社の取り組みからの示唆をまとめている。

本調査では、対象企業からの回答を整理し、成功要因を「多様性推進の前提条件」、「多様性推進の体制構築」、「多様性推進の施策とモニタリング」の3つの側面から集約している。各側面における取組みの例は、以下の通りである。

1.多様性推進の前提条件>
  • 多様性推進の目的を企業価値に結び付けており、例えばビジネスモデルの変革やイノベーション創出の源泉と説明する
  • 多様な人材の「意思決定」への関与を重視し、従業員一人ひとりの「自立性」を育てる
  • 多様性を重点テーマに据えることで、取締役会のアジェンダで定期的に取り上げる
  • 役員報酬の業績連動指標に多様性を含める
  • 多様性に特化した諮問委員会を設置する

2.多様性推進の体制構築
  • 経営会議のアジェンダに多様性を含める
  • 経営直下に多様性を推進する委員会やプロジェクトを設置する
  • パーパスやバリューの一部などで、従業員にとって身近な言葉で多様性の意義を言語化する
  • 多様性の意義を従業員に浸透させるためにCEOと従業員が対話する機会を持つ
  • アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込みや偏見)を排除するための研修を実施する
  • 女性活躍推進、若手社員の活躍、シニア人材の活躍など、多様性を競争力に変える取組みの実施状況を・人材活用の評価項目に組み入れる

3.多様性推進の施策とモニタリング
  • どの会議にも必ず女性を参加させる
  • 部門長候補に女性を一人含める
  • バリューに基づく行動様式の実践度合いや、研修の前後での行動変容など、行動の「実践」や「変容」を表す指標を含める
  • 従業員エンゲージメント調査結果を部単位で社内開示し、若手を中心に改善を促す