2025年6月11日

食品・飲料大手ネスレのコーヒーブランド、ネスカフェは、2025年6月に発表した「ネスカフェプラン2030進捗報告書(Nescafé Plan 2030 Progress Report)」で、2024年に調達したコーヒーの32%をリジェネラティブ農業を実践する農家から仕入れ、2025年目標の20%を上回ったと報告した。

ネスカフェは、施肥の最適化や被覆作物の活用促進などについて生産農家を支援し、生産性の向上やコスト削減を図るとともに、コーヒー生産時の温室効果ガス(GHG)排出削減にも貢献している。2024年には、こうした支援を受けて実践した農家は生豆1kgあたりのGHG排出を20-40%削減しているという。現在、この取り組みでは、40万ヘクタール以上のコーヒー農地を対象としており、2024年には1,400人以上の現地スタッフや農学者が16カ国で20万人を超える農家にリジェネラティブ農業の研修を実施している。

報告書では、ネスカフェのパートナー団体である、ドイツ国際協力公社(GIZ)による農家のビジネススキル向上の取り組みや、テクノサーブ(TechnoServe)の調査も紹介。これらによれば、リジェネラティブ農業により、農家の収入増とGHG削減は両立可能であり、年間5‐6億ドルの投資で、20億ドル以上の農家収入増、最大26億ドルの追加輸出、最大350万トンの二酸化炭素換算(CO2e)削減が見込まれると試算されている。さらに、地域経済への波及効果や、土壌・水・生物多様性への環境面の恩恵も期待されると言及されている。