オーストラリア政府は2026年8月21日、サプライチェーンにおける現代奴隷制への対応を強化する法改正について公開協議を開始した。政府は7月16日に、連結年間売上高が1億豪ドルを超える大企業を対象として、サプライチェーンにおける現代奴隷制を防止しなかった場合に適用する「現代奴隷制防止義務違反罪(仮訳)(failure to prevent modern slavery offence)」を新設する方針を発表していた。現代奴隷制には奴隷労働、強制労働、債務労働などが含まれ、国外で行われた場合もオーストラリア法上の犯罪となる。
公開協議では、新たな犯罪の具体的な制度設計について意見を募る。企業がサプライチェーン上の現代奴隷制を防ぐために合理的な措置を講じたことを示せる場合には、抗弁を認めることが想定されている。また、代替的な執行手段として「起訴猶予合意制度(仮訳)(Deferred Prosecution Agreement scheme: DPA)」の導入や、現代奴隷制の被害者に対する救済措置についても検討する。政府は、企業や専門家、市民社会団体など幅広い関係者や一般市民から、9月25日まで意見を募集する。
政府はあわせて、既存の「2018年現代奴隷法(仮訳)(Modern Slavery Act 2018)」に基づく義務の不履行に対し、民事制裁金と関連する執行権限を導入する方針も示している。企業向けには、サプライチェーン上の現代奴隷制リスクの特定、管理、是正を支援する実務ガイダンスや教育施策を提供する。政府は、輸入品につながるグローバルサプライチェーンを含め、強制労働などのリスクを発生源から抑えるとともに、企業に過度に規範的なコンプライアンス義務を課さず、実効性と均衡の取れた制度を構築することを目指している。
https://ministers.ag.gov.au/media-centre/consultation-strengthen-australias-modern-slavery-framework-21-08-2026
https://ministers.ag.gov.au/media-centre/albanese-government-combatting-modern-slavery-16-07-2026


