経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)」(以下、グローバルサウス補助金)への応募を検討する中で、「自社だけで申請できるのか」「コンサルタントに支援を依頼した方がよいのか」と悩む企業もあるのではないでしょうか。
結論から言えば、グローバルサウス補助金の申請にコンサルタントの利用は必須ではありません。対象国での事業経験や現地ネットワークがあり、社内で事業計画の策定から申請、採択後のFS・実証まで進められるのであれば、自社だけで対応することも十分可能です。
一方、グローバルサウス補助金は、一般的な設備投資型の補助金とは少し性格が異なります。単に設備を導入する計画を作るのではなく、現地の市場や顧客ニーズ、パートナー、事業モデル、補助事業終了後の商用化までを見据えて計画を組み立てる必要があります。
また、採択後には、FS・実証の予算管理や証憑書類の整理、実績報告、確定検査への対応なども必要になります。そのため、社内に不足している知見や機能を外部の専門家で補うことには大きな意味があります。
本記事では、グローバルサウス補助金でコンサルタントを活用するメリット、自社だけでも対応しやすいケース、外部支援を検討した方がよいケース、依頼先を選ぶ際のポイントについて解説します。
なお、グローバルサウス補助金の対象事業や、採択を目指すうえで押さえたいポイントについては、「グローバルサウス補助金の対象事業とは?採択を目指すために押さえたい7つのポイント【2026年版】」もご参照ください。
グローバルサウス補助金は自社だけでも申請できる
まず前提として、グローバルサウス補助金を申請するために、コンサルタントを利用しなければならないというルールはありません。
例えば、すでに対象国で事業を行っており、現地の顧客やパートナーとの関係が構築されている企業であれば、自社内で十分な情報を持っている場合があります。
また、社内に海外事業開発、技術、財務、法務などの担当者がおり、FSや実証で確認すべき事項を具体的に整理できていれば、外部コンサルタントを利用する必要性はそれほど高くないかもしれません。
重要なのは、「コンサルタントを使うかどうか」ではなく、応募から事業実施、精算までに必要な機能が、自社内でどこまで揃っているかです。
なぜグローバルサウス補助金では外部支援が役立つのか
グローバルサウス補助金では、補助金を使ってFSや実証を行うこと自体が目的ではありません。その先にある受注・事業化につなげることが重要です。
そのため、申請時点から、少なくとも次のようなことを考える必要があります。
- 対象国にはどのような課題や顧客ニーズがあるのか
- 自社の製品・サービスには現地で競争力があるのか
- 誰が顧客となり、誰がお金を払うのか
- どのような現地パートナーが必要なのか
- FS・実証で何を確認する必要があるのか
- 補助事業終了後にどのように商用化するのか
- 事業拡大が日本側にどのようなメリットをもたらすのか
こうした項目は、申請書の文章を上手に書くだけでは解決できません。
市場情報が不足していれば調査が必要ですし、顧客が見えていなければヒアリングが必要です。現地で事業を実施するのであれば、パートナー候補を探し、役割分担や商流を検討する必要があります。
さらに、採択後に実際に事業を遂行できるよう、必要な経費を漏れなく積み上げ、補助対象となる経費と対象外の経費を整理し、現実的な資金計画を立てる必要もあります。
グローバルサウス補助金で外部支援を利用する価値は、申請書を「書いてもらうこと」よりも、事業計画を客観的に検証し、採択後の実施まで見据えて事業化の確度を高めることにあると考えられます。
コンサルタントを利用しなくてもよいケース
例えば、次のような条件が揃っている企業であれば、自社中心で応募を進めることも十分可能でしょう。
- 対象国ですでに事業経験がある
- 顧客候補や現地パートナーとの関係ができている
- 社内に海外事業開発を担当できる人材がいる
- FS・実証で何を確認すべきか明確になっている
- 事業化後のビジネスモデルや商流がある程度描けている
- 補助金の申請、予算管理、採択後の事務処理・精算に対応できる体制がある
このような企業であれば、無理に外部コンサルタントを利用する必要はありません。
必要に応じて、現地の法制度、税務、技術評価など、特定の専門分野だけ外部専門家を活用する方法もあります。
コンサルタントの活用を検討した方がよいケース
一方、次のような課題がある場合は、外部支援を活用することで申請準備だけでなく、その後の事業化にもメリットが生まれる可能性があります。
1.技術はあるが、現地市場がよく分からない
日本国内では実績のある製品や技術でも、海外で同じように売れるとは限りません。
市場規模、既存の競合製品、価格水準、商習慣、規制、顧客の購買プロセスなどを把握する必要があります。こうした情報を社内だけで入手することが難しい場合は、現地調査の経験やネットワークを持つ外部専門家を活用する意味があります。
2.現地顧客やパートナーへのアクセスがない
FSでは、机上調査だけでなく、顧客候補や行政機関、業界団体、パートナー候補へのヒアリングが重要になることがあります。
「市場はありそう」という情報と、「実際に購入を検討する顧客がいる」という情報には大きな差があります。
現地の関係者へのアクセスが不足している場合は、パートナー探索や顧客ヒアリングまで対応できる支援者を活用すると、事業計画の具体性を高めやすくなります。
3.社会課題は明確だが、ビジネスモデルが固まっていない
環境、エネルギー、農業、医療などの分野では、「解決すべき社会課題がある」というところまでは比較的分かりやすい一方、事業化を考えると難しいケースがあります。
特に重要なのが、「誰が受益者なのか」と「誰がお金を払うのか」を分けて考えることです。
社会的に必要とされる技術であっても、購入者や価格、販売方法、継続的な収益モデルが見えていなければ、事業化できません。
こうした場合は、申請書作成に入る前に、事業モデルそのものを整理する必要があります。
4.FS・実証で何を確認すべきか整理できていない
グローバルサウス補助金では、「何を実施するか」だけでなく、「なぜその調査・実証が必要なのか」が重要です。
FSであれば、市場、規制、価格、競合、顧客、パートナー、採算性など、事業化に向けて解消すべき不確実性を整理する必要があります。
小規模実証であれば、現地環境での性能、運用性、耐久性、経済性、顧客評価など、実証によって確認すべき項目を設定する必要があります。
こうした検証項目の設計に不安がある場合も、海外事業やFS・実証の経験を持つ支援者を活用する価値があります。
5.社内の人員だけでは十分な時間を確保できない
グローバルサウス補助金の応募では、事業計画だけでなく、実施体制、スケジュール、経費、事業化計画など、多くの情報を短期間で整理する必要があります。
二次公募は2026年10月2日から10月23日までの実施が予定されており、公募期間は約3週間です。
通常業務と並行してこれらを準備することが難しい場合、調査や資料整理などの一部を外部に任せ、社内では事業上の重要な意思決定に集中するという方法もあります。
6.FS・実証の予算の立て方や、採択後の精算に不安がある
グローバルサウス補助金では、事業内容だけでなく、予算の組み立て方も重要です。
海外でFSや実証を行う場合、現地調査費、旅費、外注費、専門家費用、機材の調達・製作費、輸送費、据え付け費など、多様な経費が発生します。どの経費区分に計上するのか、補助対象になるのか、どのような根拠で金額を積算するのかを整理する必要があります。
特に小規模実証では、機材の製作・調達、海外輸送、通関、据え付け、試運転、運転、撤去など、事業全体の工程と予算が密接に関係します。必要な経費を申請時に十分に見込めていなければ、採択後の実施段階で事業運営が難しくなる可能性があります。
また、採択後は、発注・契約・支払いに関する証憑書類を適切に管理し、事業終了後に実績報告や確定手続きに対応する必要があります。原則として補助対象経費の支払いは事業期間内に済ませる必要があり、為替変動があっても補助金の支払額は交付決定額の範囲内となります。
補助金は基本的に事業終了後、実績報告と補助金額の確定手続きを経て支払われるため、事業期間中の資金繰りも考えておく必要があります。
こうした補助対象経費の整理、積算、証憑管理、実績報告・精算の実務に慣れていない企業にとっては、申請段階から採択後の精算まで見据えて支援できるコンサルタントを活用する価値があります。
「申請書作成だけ」をコンサルタントに依頼する場合の注意点
補助金申請というと、「申請書を上手に書いてくれる会社」を探したくなるかもしれません。
しかし、グローバルサウス補助金の場合、申請書の文章だけを整えても、元となる事業計画が弱ければ採択される可能性は低くなります。
例えば、「途上国の社会課題を解決できる優れた技術です」という説明があっても、次のような疑問に答えられなければ、事業としての説得力は十分とはいえません。
- 既存の代替手段と比べて、なぜこの製品・技術が選ばれるのか
- 顧客は誰なのか
- 顧客はいくらなら購入するのか
- 誰が事業を運営するのか
- 補助事業終了後にどう設備を活用し(実証の場合)、商用展開するのか
これらは文章表現の問題ではなく、事業そのものの問題です。
そのため、外部支援を利用するのであれば、申請書を代わりに作成してもらうだけでなく、事業計画の弱点を指摘し、一緒に改善できる支援者かどうかを見ることが重要です。
申請支援と、採択後のFS・実証支援は分けて考える
グローバルサウス補助金で外部支援を検討する場合、「公募への申請支援」と「採択後の補助事業の実施・精算支援」は分けて考える必要があります。
| 申請段階 | 採択後 | |
|---|---|---|
| 主な支援内容 | 事業計画整理、申請書作成支援、予算・スケジュール整理等 | 市場調査、現地調査、顧客ヒアリング、パートナー探索、実証支援、予算管理、証憑整理、実績報告・精算支援等 |
| 費用の補助 | 申請書作成・取りまとめ等の費用は補助対象外 | 補助事業の実施に必要な委託・外注等は、基本的に補助対象 |
| 事業主体 | 申請企業 | 補助事業者自身が事業全体を管理 |
公式FAQでも、申請に要した経費や書類作成、取りまとめに係る経費は補助対象にならないと明記されています。
一方、採択後の補助事業では、事業実施に必要な業務を外部へ委託・外注することは可能です。ただし、外注の必要性や金額の妥当性を説明できることが求められ、補助事業者自身が事業全体の企画・執行を管理する必要があります。
また、採択後の交付申請や精算では、見積書、相見積書、発注・契約関係書類、請求書、支払いを確認できる書類など、経費の妥当性や支出の事実を示す証憑が重要になります。申請時から必要な証憑や支払時期まで見据えて予算を設計しておくことが、採択後の円滑な事業実施につながります。
詳細は、グローバルサウス補助金の公式FAQをご確認ください。
グローバルサウス補助金のコンサルタントを選ぶ6つのポイント
外部支援を利用する場合は、「補助金の申請実績」だけで判断するのではなく、次のような点も確認するとよいでしょう。
1.海外事業開発を理解しているか
補助金制度に詳しいことと、海外事業を作れることは別です。市場、顧客、競合、価格、商流、パートナーなど、事業化に必要な論点を一緒に検討できるかを確認したいところです。
2.現地で調査やパートナー探索ができるか
グローバルサウス補助金では、対象国での情報収集や関係者との調整が重要になるケースが多くあります。現地調査やヒアリングまで対応できるかも重要な判断材料です。
3.FS・実証の設計まで支援できるか
申請書をまとめるだけでなく、「今回のFS・実証で何を確認すべきか」「どのような方法で検証するか」まで相談できる支援者の方が、採択後も一貫した事業運営につなげやすくなります。
4.採択後の事業実施まで支援できるか
採択はゴールではありません。むしろ、採択後に現地調査や実証を実施し、結果を事業化につなげることが本番です。
申請段階だけでなく、採択後のFS・実証、パートナーとの交渉、事業化まで支援できるかを確認しておくとよいでしょう。
5.予算管理や精算実務まで支援できるか
採択後の補助事業では、計画した予算に沿って適切に発注・契約・支払いを行い、その根拠となる証憑を残す必要があります。
特に海外案件では、為替変動、現地事業者への支払い、海外渡航、機材輸送など、日本国内だけの事業とは異なる実務が発生します。
申請時の積算だけでなく、採択後の予算管理、証憑整理、実績報告、確定検査への対応まで支援できるかを確認しておくと、社内の負担軽減につながります。
6.事業計画の弱点を率直に指摘してくれるか
外部の専門家を利用するメリットの一つは、自社だけでは気付きにくい事業計画の弱点を客観的に確認できることです。
何でも肯定して申請を勧めるのではなく、「この部分は顧客ニーズの確認が必要」「このビジネスモデルでは商用化が難しい」「現時点では応募を急がない方がよい」といった指摘もできる支援者の方が、結果的には有益な場合があります。
二次公募に向けて、コンサルタントを探す前に整理したいこと
令和7年度補正予算のグローバルサウス補助金は、二次公募が2026年10月2日から10月23日まで実施される予定です。
外部支援を検討する場合は、まず自社でできることと不足していることを整理してみることをおすすめします。
例えば、「事業構想と技術は自社で整理できるが、現地市場と顧客が分からない」「顧客やパートナーはいるが、FSの設計や申請経験がない」「事業内容は固まっているが、予算の積算や採択後の精算実務に不安がある」といったように不足する機能を明確にすると、必要な支援も見えやすくなります。
補助金申請に限らず、外部のコンサルタントは、自社の事業を代わりに行う存在ではなく、自社だけでは不足する知見、ネットワーク、実行力を補う存在として活用するのがよいでしょう。
二次公募の最新情報については、経済産業省の「令和7年度補正事業(グローバルサウス未来志向型共創等事業)の二次公募の情報」をご確認ください。
まとめ|コンサルに「申請」を任せるのではなく、不足する機能を補う
グローバルサウス補助金への応募に、コンサルタントの利用は必須ではありません。海外事業の経験や現地ネットワーク、FS・実証を設計・実施できる体制、予算管理や精算に対応できる体制が社内にあれば、自社中心で進めることも可能です。
一方、現地市場や顧客が分からない、パートナーへのアクセスがない、事業モデルが固まっていない、FS・実証で何を確認すべきか整理できていない、予算や精算の実務に不安がある、といった場合には、外部専門家を活用する意味があります。
重要なのは、申請書をきれいに仕上げてもらうことではなく、自社だけでは不足する機能を補い、採択後のFS・実証を適切に実施し、その先の事業化につなげることです。
イースクエアでは、海外市場調査、FS、現地での実証、パートナー探索、新規事業の立ち上げまで、海外展開・事業開発を一貫して支援しています。
「二次公募への応募を考えているが、自社だけで進められるか判断できない」「申請書作成だけでなく、事業計画や現地調査の設計から相談したい」「採択後の予算管理や精算まで含めて支援してほしい」といった段階でも、お気軽にご相談ください。
イースクエアでは、アジアやアフリカ等の途上国・新興国での多数のプロジェクト経験に加え、民間企業でのビジネス経験を有するコンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、補助金獲得や補助金案件の運用を含めたお客様のニーズに合わせて、海外ビジネス展開をオーダーメイドでご支援しています。グローバルサウス補助金を使った実現可能性調査(FS)、事業立ち上げなどのご支援の実績も多数ございます。
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