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グローバルサウス補助金のFSと小規模実証の違い|どちらに応募すべき?【2026年版】

【公開日】 【最終更新日】

グローバルサウス補助金への応募を検討する際、「FS事業と小規模実証事業のどちらを選べばよいのか」は、悩みやすいポイントの一つです。

「まずFSを行ってから実証に進むものなのか」「現地で機器を使うなら小規模実証なのか」「市場調査も実証も行いたい場合はどちらなのか」と迷うケースもあるでしょう。

FSと小規模実証の違いは、単純に事業規模や補助金額の大小ではありません。重要なのは、事業化に向けて何がまだ分かっておらず、今回の補助事業で何を確認したいのかです。

本記事では、経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)」(以下、グローバルサウス補助金)について、FSと小規模実証の違いと、どちらを選ぶべきかを整理します。

なお、グローバルサウス補助金の対象事業や、採択を目指すうえで押さえたいポイントについては、「グローバルサウス補助金の対象事業とは?採択を目指すために押さえたい7つのポイント【2026年版】」もご参照ください。

FSと小規模実証の違いをまず整理

FS事業は、案件組成段階で事業化の可能性を調査するものです。一方、小規模実証事業は、実地に適用可能な段階にある技術・システム等をグローバルサウス諸国で実際に使用し、その有効性や経済性などを確認するものです。

簡単に言えば、事業として成立するかを調べるのがFS、実際の事業環境で技術やシステムの有効性・経済性を確かめるのが小規模実証と考えると分かりやすいでしょう。

FS事業小規模実証事業
主な目的事業化の可能性を調査する実地で有効性・経済性等を確認する
主な検証内容市場、顧客ニーズ、規制、競合、価格、採算性、事業体制、パートナー等性能、現地適合性、運用性、経済性、顧客評価等
技術・サービスの段階事業化に向けた仮説を検証する段階実地に適用可能な段階
実施場所対象国での調査に加え、案件形成に必要な日本国内での調査等も対象となり得るグローバルサウス諸国で有効性・経済性等を確認する
設備等資産計上できるものは補助対象外実証に必要な合理的理由があれば資産計上される設備等も対象となり得る
事業期間交付決定日から原則12か月以内交付決定日から原則18か月以内
補助上限1億円5億円

補助率はいずれも2分の1以内で、中小企業は一定の要件を満たす場合に3分の2以内です。

FSを選ぶべきケース

FSが向いているのは、製品やサービスの事業化に向けた基本的な仮説はあるものの、市場や事業モデルについて重要な不確実性が残っている段階です。

例えば、次のような点を確認する必要がある場合です。

公募要領でも、FSの対象として、市場規模や需要予測、経済性評価、競合分析、基本設計、ファイナンス、現地パートナー調査、事業実施体制の検討などが想定されています。

したがって、「技術はあるが、現地で誰が買ってくれるのかまだ十分に分からない」「市場はありそうだが、価格や販売方法、パートナーを確認する必要がある」といったケースでは、まずFSを検討するのが自然です。

小規模実証を選ぶべきケース

一方、小規模実証は、単に「海外で機械を動かしてみたい」という制度ではありません。

対象となる技術やシステム等は、すでに実地に適用可能な段階にあることが前提です。研究開発そのものを行うのではなく、実際の事業環境に近い条件で有効性や経済性等を確認し、その後の商用化につなげることが重要になります。

例えば、次のような検証が必要なケースが考えられます。

つまり、技術そのものを完成させるための研究開発ではなく、すでに実用可能な技術やシステムを現地で検証し、商用化につなげることが小規模実証の基本的な考え方です。

小規模実証は原則18か月―実証には想像以上に時間がかかる

FSと小規模実証の違いで、実務上特に注目したいのが事業期間です。

FS事業は交付決定日から原則12か月以内であるのに対し、小規模実証事業は原則18か月以内と、より長い期間が設定されています。令和7年度補正予算では、小規模実証の実施期間が従来の原則12か月以内から原則18か月以内へ延長されました。

海外で設備を使った実証を行う場合、実際にデータを取得する「実証期間」だけを考えていては十分ではありません。

案件によっては、次のような工程が必要になります。

特に海外輸送や通関、現地当局の許認可取得、現地工事などは、日本側だけではコントロールできない事情によって予定より時間を要することもあります。

例えば、18か月の事業期間があっても、機材の製作や輸送、据え付けに半年以上を要すれば、実際に設備を運転してデータを取得できる期間は大きく短くなります。

公式FAQでも、実証対象設備を現地に設置しただけでは実証したことにはならず、有効性や経済性を十分に確認できるよう、余裕を持ったスケジュールで応募することが求められています。

したがって、小規模実証では「18か月あるから余裕がある」と考えるのではなく、十分な運転・検証期間を確保するために、調達・輸送・据え付けまでの工程を申請段階から現実的に設計することが重要です。

「設備を導入するから小規模実証」とは限らない

FSと小規模実証を選ぶ際に注意したいのが、設備の扱いです。

FSでは、資産計上できるものは補助対象外です。一方、小規模実証では、実証を行うために必要であることを合理的に説明できる場合、資産計上される設備等も補助対象となる可能性があります。

ただし、設備を購入したいから小規模実証を選ぶ、という考え方は適切ではありません。

小規模実証は設備投資そのものを支援する制度ではなく、その設備を使って何を検証し、その結果をどのように商用化につなげるのかが重要です。

「この設備を導入したい」から考えるのではなく、「この事業を商用化するためには何を現地で確認する必要があり、そのためにこの設備が必要である」という順番で整理する必要があります。

迷ったときは「何がまだ分からないのか」で判断する

FSと小規模実証のどちらを選ぶか迷った場合は、事業化に向けて現在残っている最大の不確実性が何かを考えてみると分かりやすくなります。

まだ分からないこと検討しやすい事業形態
市場があるかFS
顧客が誰かFS
いくらなら売れるかFS
どのパートナーと組むべきかFS
規制上、事業化できるかFS
現地環境で期待した性能が出るか小規模実証
現地で継続的に運用できるか小規模実証
実際の顧客からどのように評価されるか小規模実証
実際の運用条件で経済性が成立するか小規模実証

もちろん、実際の案件では「市場も調べたいし、技術も確認したい」ということがあります。

その場合も、調査・実証項目をすべて並べるだけではなく、今回の補助事業で解消すべき中心的な課題は何なのかを明確にすることが重要です。

FSを行わず、小規模実証に応募することもできる

必ずFSを実施してから小規模実証に進まなければならないわけではありません。

すでに自社調査やこれまでの事業を通じて、市場、顧客、パートナー、事業モデルなどが十分に整理されており、次に確認すべきことが現地での技術的・経済的な有効性であれば、小規模実証から応募することも考えられます。

一方、グローバルサウス補助金で過去にFS事業として採択された案件については、同じ案件で再度FS事業に応募することはできませんが、次の段階として小規模実証事業や大型実証事業に応募することは可能です。

FSから小規模実証、そしてその先の商用化へと段階的に進めることも、この制度の活用方法の一つです。

採択後にFSと小規模実証を変更することはできない

もう一つ重要なのが、採択後に事業形態を変更できないという点です。

「とりあえずFSで申請し、採択後に小規模実証へ変更する」「小規模実証で申請し、実証が難しくなったのでFSへ変更する」といったことはできません。

そのため申請前に、今回の事業で解消したい課題、技術の成熟度、必要な活動、設備の必要性、事業化までの道筋を整理したうえで、FSか小規模実証かを選ぶ必要があります。

採択を目指すうえで確認しておきたいその他のポイントについては、「グローバルサウス補助金の対象事業とは?採択を目指すために押さえたい7つのポイント【2026年版】」でも詳しく解説しています。

二次公募への応募を考えるなら、まず「検証課題」を整理する

経済産業省は、令和7年度補正予算のグローバルサウス補助金について、二次公募を2026年10月2日から10月23日まで実施する予定としています。

応募を検討している場合は、最初に「FSと小規模実証のどちらに応募するか」を決めるのではなく、まず次の3点を整理してみることをおすすめします。

この3点を整理すると、FSで調査すべき案件なのか、小規模実証で実地検証すべき案件なのかが見えやすくなります。

また、FS・小規模実証の選択だけでなく、事業計画の整理、予算の組み立て、現地調査・実証の設計、採択後の事業実施や精算について外部支援を利用するか迷っている場合は、「グローバルサウス補助金の申請にコンサルは必要?外部支援を活用すべきケース【2026年版】」もご参照ください。

二次公募の最新情報については、経済産業省の「令和7年度補正事業(グローバルサウス未来志向型共創等事業)の二次公募の情報」および公募特設サイトをご確認ください。

まとめ|FSと小規模実証は「事業化に向けて何を確認するか」で選ぶ

グローバルサウス補助金のFSと小規模実証は、単純に補助金額や事業規模で選ぶものではありません。

市場、顧客、規制、パートナー、採算性など、事業として成立するかを調べる必要があるのであればFS、すでに実地に適用可能な技術等があり、現地での有効性や経済性を確認して商用化につなげるのであれば小規模実証というのが基本的な考え方です。

特に小規模実証では、原則18か月という事業期間の中に、機材の調達・製作、輸送、通関、据え付け、試運転、本運転、データ取得までを収める必要があります。補助金額の大きさだけを見るのではなく、実際に十分な検証ができる計画になっているかを確認することが重要です。

大切なのは、「どちらの補助額が大きいか」ではなく、事業化に向けて現在何がボトルネックになっているのかを明らかにすることです。

イースクエアでは、海外市場調査、FS、現地での実証、パートナー探索、新規事業の立ち上げまで、海外展開・事業開発を一貫して支援しています。

「FSと小規模実証のどちらで応募すべきか判断できない」「二次公募に向けて、何を調査・検証すべきか整理したい」といった段階でも、お気軽にご相談ください。

イースクエアでは、アジアやアフリカ等の途上国・新興国での多数のプロジェクト経験に加え、民間企業でのビジネス経験を有するコンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、補助金獲得や補助金案件の運用を含めたお客様のニーズに合わせて、海外ビジネス展開をオーダーメイドでご支援しています。グローバルサウス補助金を使った実現可能性調査(FS)事業立ち上げなどのご支援の実績も多数ございます。

ご興味がある方はお気軽に以下よりお問い合わせください。

田村 賢一
この記事の監修者
田村 賢一記事一覧
2005年よりデロイト トーマツ グループにてCSR戦略、環境マネジメント、中小企業向け経営コンサルティング支援に従事。2010年イースクエア参画後はCSR・サステナビリティ事業に従事し、企業の戦略策定、情報開示、社内浸透などを支援。2015年に取締役就任後は海外展開・事業開発支援を主導し、中堅・中小企業向けに公的資金の活用、人財育成、新規事業開発等を支援。近年は中堅・中小企業の海外展開支援に継続して取り組んでおり、サステナビリティ・海外展開関連の講演活動も多数行っている。

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