• サステナビリティニュース
IPBES、「ビジネスと生物多様性評価報告書」を発表 100超の具体策を提示

【公開日】 【最終更新日】



2026年2月 9日


英国マンチェスターで開催された「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」第12回総会で、「企業の生物多様性および自然の人々への貢献に対する影響と依存に関する方法論評価報告書(仮訳)(Methodological Assessment Report on the Impact and Dependence of Business on Biodiversity and Nature’s Contributions to People)」、通称「ビジネスと生物多様性評価報告書」の政策決定者向け要約が150カ国以上のメンバー国により承認された。

本報告書は、IPBESが初めてビジネスに焦点を当ててまとめた報告書であり、企業に対して影響・依存の定量化と戦略的統合を求めている。

同報告書は35カ国79名の専門家が3年をかけて作成した。企業は、生物多様性の損失を止め回復させるうえで中心的役割を担う一方、自らの影響や自然への依存、関連するリスクや機会を把握する十分な情報を欠いていると指摘する。また、現行の事業環境は公正で持続可能な未来と整合せず、システミックリスクを内在させていると指摘する。実際、生物多様性を損なう多額の補助金が企業活動に向けられており、2023年に自然に負の影響を及ぼした資金7.3兆ドルに対し、保全・回復向け資金は2,200億ドルと有害資金の約3%にとどまる。

企業の影響・依存を測定する手法やデータは存在するものの、依存評価は十分進まず、導入も低水準で不均一である。生物多様性への影響に具体的に言及する公開企業は1%未満にとどまるとの分析も示された。金融機関が自然関連リスクを適切に評価・管理する上では、信頼性の高いデータやモデル、将来シナリオの整備・共有が依然として不十分であることが大きな制約となっている。単一の万能な手法は存在せず、目的に応じて複数の手法を組み合わせる必要があるとし、その際には網羅性、正確性、応答性を確保することが重要であると指摘している。企業は自らの影響・依存への対応責任があり、さらなる行動が可能である一方、企業単独では生物多様性の損失を止める規模の変化は実現できず、他の企業や政府、市民社会との協働や集団的行動が不可欠である。

報告書は、生物多様性にとって真に有益な方向に向けてビジネスが行動をとれるようにするには次の5点が重要だとしている。
1. 政策、法的、規制的な枠組み
2. 経済と金融システム
3. 社会的価値、規範、文化
4. テクノロジーとデータ
5. 能力・知識

そして、これら5つの分野で、企業、政府、金融機関、市民社会が取るべき100超の具体策を示している。

https://www.ipbes.net/bba-report/media-release

https://www.wwf.or.jp/activities/news/6192.html

芝原 亜季
この記事の監修者
芝原 亜季記事一覧
イースクエアCompass for Sustainability担当。
政府系金融機関での国際協力業務の経験を経て、英国ノッティンガム大学大学院でMBA in Corporate Social Responsibilityの 修士号を日本人第一号として取得。2008年にイースクエアに参画。CSR・サステナビリティ支援事業に従事し、企業の戦略策定・実行支援、リサーチ分析などに携わる。現在は、会員制サイトであるCompass for Sustainabilityを統括し、国内外の情報とサステナビリティ推進支援の知見と経験を活かしたコンテンツ開発に取り組んでいる。

RELATED COLUMNS
合わせて読みたい

サービス資料やお役立ち資料を
無料配信中
サービスやお見積もりなど
お気軽にお問い合わせください
メールマガジン登録
サステナビリティ関連の最新情報はもちろん、
最新セミナー情報など皆様の業務に役立つメールマガジンをお届けしています。