2019年11月15日

企業の人権問題への対応の評価を行う英国拠点のNPOである企業の人権ベンチマーク(CHRB:Corporate Human Rights Benchmark)は、2019年の企業の人権ベンチマーク結果を発表した。昨年に比べて大きく改善した企業もあるが、対象企業の半数以上が国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)の人権デューディリジェンスの基本要件を全く満たしていなかったことが明らかとなった。

当ベンチマークは「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)に基づく100の指標に基づき、強制労働や人権活動家の保護、生活賃金などに関して、公開情報から各企業のパフォーマンスを測定し、最高得点を100%としてスコアを算出するもの。本年は農業製品、アパレル、採掘業のほか、ICT関連を加え、4セクターから世界の200社を対象とした。

今回の調査結果では、対象セクターの大手企業の半数以上が人権課題に対処できておらず、全体の平均スコアは24%であった。また、新たに対象となったICTセクターの平均はわずか18%で、早急な改善が求められる。なおスターバックスやコストコなど飲食業大手は、依然として最低レベルのスコアであった。一方で2017年よりスコアを伸ばしているファーストリテイリング、ケロッグ、衣料品大手のインディテックス、ハイネケン等をはじめ、全体で75%の企業がスコアを伸ばしており、過去3年を通して一貫して改善の傾向はみられる。特に、アディダス、ユニリーバ、M&Sなどのリーダー企業は70%以上のトップスコアを維持している。

日本のベンチマーク対象企業は、昨年までのファーストリテイリングとイオンの2社に、キリンホールディングス、アサヒグループホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、サントリー食品インターナショナルなどの16社が加わり、合計18社となった。しかしながらスコアは、ファーストリテイリングの40-50%以外は20-30%以下、14社が20-10%以下と低調だった。

当ベンチマークは、アビバ・インベスターズ、APGアセット・メネジメント、ノルデア銀行などの機関投資家により、エンゲージメントや意思決定に使用されている。


⇒関連するサービスはこちら <人権デュー・ディリジェンス導入>