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グローバルサウス補助金 令和7年度第1回公募の結果と第2回公募の見通し

【公開日】 【最終更新日】

経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)」について、令和7年度第1回公募の採択結果が公表されました。今回の結果を見ると、競争はかなり厳しく、採択案件にも一定の傾向が見えてきます。あわせて気になるのが、第2回公募があるのかどうか、という点です。

現時点で、第2回公募は公式には発表されていません。ただし、今回の公募時点では「FS事業、実証事業、合わせて80件程度を予定」と案内されていた一方、実際の採択は65件でした。また、過去2年度はいずれも複数回公募が行われています。こうした点を踏まえると、第2回公募の可能性は十分ありますが、今の段階で「ある」と断定はできない、というのが冷静な見方だと思います。

グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金とは

グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金は、グローバルサウス諸国が抱える課題の解決を通じて、日本企業の海外展開、新市場開拓、日本国内産業の活性化につなげることを目的とした制度です。小規模実証・FS事業では、事業実施可能性調査(FS)と小規模実証が対象となっており、GX、DX、経済安全保障といった政策分野との接続も重視されています。単なる海外販路開拓ではなく、相手国への裨益と日本側への裨益の両方が求められる点が特徴です。

対象分野

対象となる事業は、GX、DX、経済安保のいずれかの分野に位置付けられることが前提です。

類型

公募要領上は、類型1「我が国のイノベーション創出につながる共創型」、類型2「日本の高度技術海外展開型」、類型3「サプライチェーン強靱化型」に整理されています。自社案件がどの分野・どの類型に当たるのかを明確にしておくことが重要です。

令和7年度第1回公募の結果

令和7年度第1回公募は、238件の応募に対して65件が採択されました。採択率は約27.3%、単純倍率は約3.7倍です。かなり競争が厳しかったと言ってよいでしょう。

過去の公募との比較

過去の公募と比べると、その厳しさがよりはっきりします。

令和5年度補正の一次公募は、144件応募・36件採択で、採択率は25.0%、単純倍率は4.0倍でした。
令和5年度補正の二次公募は、163件応募・110件採択で、採択率は67.5%、単純倍率は1.5倍でした。
令和5年度補正の三次公募は、183件応募・80件採択で、採択率は43.7%、単純倍率は2.3倍でした。

令和6年度補正の一次公募は、144件応募・71件採択で、採択率は49.3%、単純倍率は2.0倍でした。
令和6年度補正の二次公募は、234件応募・75件採択で、採択率は32.1%、単純倍率は3.1倍でした。

これと比べると、令和7年度補正第1回公募は、ここ数回の中でもかなり厳しい回だったと見ることができます。少なくとも、令和6年度補正の一次公募よりはかなり狭き門で、令和5年度補正の一次公募に近い競争水準だったと言えます。

今回の結果から見えること

今回の結果からは、単に応募件数が多かっただけでなく、採択件数が抑えられたことで、競争率が上がったことが分かります。「出せば通る」という雰囲気ではなく、政策分野との整合性、案件の具体性、相手国裨益と日本裨益の整理などが、より強く問われた公募だったと考えられます。

採択案件から見える傾向

今回の採択一覧を見ると、GX、DX、経済安保といった制度趣旨に正面から乗せた案件が多いことが分かります。もともと今回の公募は、グローバルサウスが抱える課題をDX/GX分野等で解決し、日本国内産業の活性化、新市場開拓、経済安全保障の確保につなげることを目的としていました。採択案件も、この制度目的に沿ったテーマが多く並びました。

テーマの特徴

例えば、インドネシアでのAI空調制御や冷凍倉庫の統合制御、インドの治験プラットフォーム、ベトナムの医療DX、ウズベキスタンのテレマティクス、ザンビア・コンゴ民主共和国での鉱山遠隔監視など、社会課題の解決と日本企業の技術・事業展開がセットで語られている案件が目立ちます。

採択されやすい案件の見え方

今回の採択案件を見る限り、単に「海外で売れそうな技術」ではなく、相手国側の課題と、日本側の事業メリットが一続きで説明できる案件が強い印象です。これは、制度上も「相手国裨益」と「日本裨益」の両立が求められていることと整合的です。

企業規模で見ても、特定の層に偏っているわけではない

今回の採択結果を採択事業者名ベースで概算整理すると、中小企業・スタートアップ側と大企業側はほぼ半々でした。連名案件については大企業が1社でも含まれる場合は大企業側として扱うと、全65件のうち大企業側が約半数、中小企業・スタートアップ側も約半数という見え方になります。つまり、今回の採択は大企業偏重でも中小企業偏重でもなく、政策分野との整合性や案件の具体性があれば、企業規模にかかわらず採択の可能性があることを示唆していると言えます。
※なお、この整理は採択一覧に記載された採択事業者名をもとにした概算であり、公式に中小企業・大企業の内訳が公表されているわけではありません。

第2回公募はあるのか

イースクエアにも、「第2回公募はあるのか」という問い合わせをよくいただきます。現時点で第2回公募は公式発表されていません。令和7年度補正の関連ページでも、小規模実証・FS事業については春の公募スケジュールが示されていた一方、当初から「第1回」「第2回」と明記した案内にはなっていませんでした。

第2回公募があると考える理由

今回の公募時点のFAQでは、「FS事業、実証事業、合わせて80件程度を予定」とされていました。しかし、実際の採択は65件でした。単純に見ると、当初想定より15件少ない採択だったことになります。

さらに重要なのは、事務局募集要領の段階では、「管理する間接補助事業の件数は約130件程度を想定」とされていたことです。つまり、制度全体としては、65件よりかなり多い件数を視野に入れていたことになります。もちろん、この130件は年間の制度運営上の想定件数であって、第1回公募だけで採る件数を意味するものではありません。ただ、第1回の採択が65件にとどまったことを踏まえると、追加募集の余地が残っていると考える余地は十分あります。

加えて、過去の実績を見ると、令和5年度補正は3回公募、令和6年度補正は2回公募が行われています。したがって、「過去と同じように複数回ある可能性」は十分あります。

ただし、今の段階で断定はできない

一方で、令和7年度は当初から複数回公募が明示されていたわけではありません。また、130件という数字も、あくまで事務局募集段階での管理想定件数です。そのため、現時点では「第2回公募の可能性はあるが、まだ公式発表はない」と整理しておくのが妥当だと思います。

第2回公募があったとしても、早めの準備が重要な理由

仮に第2回公募があったとしても、「次があるならその時に考えればよい」とは言い切れません。

実質的に事業に使える期間は短くなる可能性がある

FAQでは、採択決定は6月下旬予定、交付決定は9月~10月頃、FS事業は交付決定日から原則12か月以内、実証事業は原則18か月以内に完了が必要とされています。つまり、後ろ倒しの公募・採択になるほど、実質的に事業に使える期間が短くなる可能性があります。

実証事業は準備に時間がかかる

特に実証事業では、採択後にすぐ動けるとは限りません。現地パートナーとの調整、契約、設備や機材の製造・手配、輸送、設置、法規制対応、試運転、データ取得、検証、報告まで考えると、実際にはかなり時間がかかります。だからこそ、十分な実証期間を確保しやすいタイミングで動く意味は大きいと言えます。

1年半への延長も、実務上の課題を反映している可能性がある

加えて、令和7年度補正では小規模実証の期間が前年度の1年から1年半程度に延びています。公式に背景説明が出ているわけではありませんが、実務的には、機器類を伴う実証で、手配・製造、輸送、設置、法規制対応、運転開始後の検証までに一定の時間がかかるため、従来の1年では十分な実証期間を確保しにくい、という課題感があったのではないかと読むことができます。その意味でも、仮に第2回公募があったとしても、後ろの公募ほど事業期間の確保は難しくなる可能性があります。

これから準備する企業が押さえておきたいポイント

第2回公募の有無にかかわらず、次に向けて整理しておきたい論点はかなり明確です。

GX・DX・経済安保のどの分野か

まず、GX・DX・経済安保のどの分野に位置付けられる案件なのかを明確にすることです。

類型1・2・3のどれか

さらに、類型1「我が国のイノベーション創出につながる共創型」、類型2「日本の高度技術海外展開型」、類型3「サプライチェーン強靱化型」のどれで整理するかも、早めに固めておく必要があります。

相手国裨益と日本裨益をどう説明するか

相手国への裨益と、日本側への裨益をセットで説明できるかが重要です。国費が入る以上、日本側の売上増、雇用増、新市場開拓、国内産業への波及などが見える形で整理されている案件の方が、制度趣旨に合いやすいと言えます。

FS・実証の目的をどう切り分けるか

FSで何を確認したいのか、小規模実証で何を実証したいのか、その違いを明確にすることも大切です。

現地で誰と進めるのか

現地で誰と進めるのか、実施体制やパートナー関係を整理しておく必要があります。

その先の事業化をどう描くか

その先の事業化をどう描くのかを、申請前の段階である程度見える化しておくことも重要です。今回の採択結果を見ると、そこが整理できている案件ほど強い印象があります。

まとめ

令和7年度第1回公募は、238件応募・65件採択、単純倍率約3.7倍という厳しい結果でした。採択案件を見ると、GX・DX・経済安保といった政策テーマに正面から乗せつつ、相手国課題の解決と日本側の事業メリットをつなげた案件が多く見られます。

第2回公募については、現時点で公式発表はありません。ただし、当初FAQでは80件程度の採択予定とされていたこと、事務局募集段階では約130件程度の管理が想定されていたこと、そして過去2年度は複数回公募だったことを踏まえると、可能性は十分あります。もっとも、それはあくまで「可能性」であって、確定情報ではありません。

したがって、実務的には、第2回公募を期待して待つというより、次が来てもすぐ動ける状態にしておくのが最も合理的です。イースクエアでは、案件の構想整理、GX・DX・経済安保や類型の当てはめ、日本裨益・相手国裨益の整理、申請ストーリーの構築まで支援しています。今回の結果を踏まえて自社案件をどう見直すべきか、という段階からでもご相談いただけます。

田村 賢一
この記事の監修者
田村 賢一記事一覧
2005年よりデロイト トーマツ グループにてCSR戦略、環境マネジメント、中小企業向け経営コンサルティング支援に従事。2010年イースクエア参画後はCSR・サステナビリティ事業に従事し、企業の戦略策定、情報開示、社内浸透などを支援。2015年に取締役就任後は海外展開・事業開発支援を主導し、中堅・中小企業向けに公的資金の活用、人財育成、新規事業開発等を支援。近年は中堅・中小企業の海外展開支援に継続して取り組んでおり、サステナビリティ・海外展開関連の講演活動も多数行っている。

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