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令和7年度補正予算 グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)を狙うなら、今すぐ準備をした方がいい理由

【公開日】 【最終更新日】

経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」は、グローバルサウス諸国における社会課題の解決と、日本企業の海外展開・新市場開拓を後押しする制度として注目されています。令和7年度補正でも、小規模実証・FS事業の公募が始まりました。

令和7年度補正については、早めに準備を進める意義がこれまで以上に大きいと考えられます。現時点で公表されているスケジュールは春の公募を軸に組まれており、しかも今年度は小規模実証の期間が前年度の1年から1年半程度に延びています。今後の変更や追加募集の可能性はあるものの、まずは今見えている公募を前提に、案件を具体化しておくことが重要です。

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令和7年度補正予算 グローバルサウス未来志向型共創等事業(小規模実証・FS事業) 第1回公募に向けた最新動向と準備ポイント

その前に、まずはこの補助金の基本的な位置づけを整理しておきます。

グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金とは

グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金は、グローバルサウス諸国の市場活性化と日本との経済連携の強化を目的に、日本企業が実施するFS事業や小規模実証事業に係る費用の一部を支援する制度です。小規模実証・FS事業では、グローバルサウスが抱える課題の解決を通じて、日本国内のイノベーション創出や国内産業活性化につなげることも重視されています。

対象となる事業は、GX、DX、経済安全保障のいずれかの分野に位置付けられることが前提です。また、公募要領上は、類型1「我が国のイノベーション創出につながる共創型」、類型2「日本の高度技術海外展開型」、類型3「サプライチェーン強靱化型」に整理されており、自社案件がどの分野・どの類型に当たるのかを明確にしておくことが重要になります。

令和7年度補正は、まず今見えている公募を前提に考える

経済産業省の公表では、小規模実証・FS事業の募集要領は2026年3月30日に公開され、公募は4月17日に開始され、締切は5月11日予定、採択結果公表は6月末頃予定とされています。現時点で外から明確に見えているのはこの公募です。

また、経済産業省による事前説明資料では、小規模実証・FS事業のスケジュールは「公募:3月末~(受付は4~5月頃を想定)」と整理されており、前年度のように当初から「第1回」「第2回」と並べて示されてはいません。一方で、同資料には今後の変更可能性や追加募集の可能性も記載されています。したがって、今の段階で「今年は1回しかない」と断定はできませんが、少なくとも現時点では、まず春の公募を前提に準備を進めるのが自然です。

追加公募があったとしても、実質的に事業に使える期間は短くなる可能性が高い

ここで気をつけたいのは、仮に追加公募があったとしても、それが必ずしも「あとで考えればよい」という意味にはならないことです。補助事業には期限があるため、後ろのタイミングで採択される案件ほど、実質的にFSや実証に使える期間が短くなる可能性が高くなります。令和7年度の小規模実証・FS事業は、春の公募スケジュールが示されている一方で、事業期間のイメージとしてFSは1年、小規模実証は1年半程度とされています。

実証事業は、採択されればすぐに始められるとは限りません。現地パートナーとの調整、契約、設備や機材の手配、輸送、設置、法規制対応、運用、データ取得、検証、報告まで含めると、それなりの時間が必要です。だからこそ、十分な事業期間を確保しやすいタイミングで動くことには意味があります。追加公募の可能性は見ておきつつも、まずは今見えている公募に合わせて準備を進める方が現実的だと言えます。

小規模実証の期間延長は、より実装を見据えた見直しとも読める

なお、令和7年度補正では、小規模実証の期間が前年度の1年から1年半程度に延びています。この変更の背景について公式に詳しい説明があるわけではありませんが、実務的には、機器類を伴う実証では、手配・製造、輸送、現地での設置、法規制対応、運転開始後の検証までに一定の時間がかかるため、これまでの1年では十分な実証期間を確保しにくい、という声や課題感があったのではないかと考えられます。特に海外案件では、国内案件以上に調整事項が多く、スケジュールの見通しに余裕を持たせる必要があります。

イースクエアでも「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」などを活用して企業の実証支援を行っていますが、特に設備導入を伴う実証の場合、FSに比べてかなり長い実施期間が必要になるケースが多くなっています。

そう考えると、今年度の期間延長は、単なる制度上の変更というより、より実装に近い実証を進めやすくするための見直しと見ることもできます。だからこそ、仮に追加公募があったとしても、後ろの公募ほど実質的に事業に使える期間は短くなる可能性があり、十分な実証期間を確保したいのであれば、やはり春の公募に合わせて準備を進める意義は大きいと言えそうです。

過去の採択件数を振り返る

過去情報ページを見ると、小規模実証・FS事業は令和5年度補正、令和6年度補正ともに複数回公募が行われ、採択件数も積み上がってきました。また、採択案件一覧をもとに集計すると、小規模実証・FS事業の件数は次の通りです。令和7年度補正は、現時点では採択予定件数のみが公表されています。

年度公募回FS小規模実証合計
令和5年度補正一次公募23件13件36件
令和5年度補正二次公募42件68件110件
令和5年度補正三次公募43件37件80件
令和5年度補正合計108件118件226件
令和6年度補正一次公募47件24件71件
令和6年度補正二次公募34件41件75件
令和6年度補正合計81件65件146件
令和7年度補正2026年4月公募80件程度(採択予定)

この表を見ると、令和5年度補正、令和6年度補正はいずれも複数回公募を通じて件数が積み上がっていたことが分かります。一方で、令和7年度補正は現時点でまず80件程度が示されている段階です。追加募集の可能性は残されていますが、まずは今見えている公募に向けて案件を固めることの重要性は高いと言えそうです。

なお、過去の予算規模や採択件数から逆算すると、FSは平均0.45億円/件程度、小規模実証は平均1.5億円/件程度という案件規模になっています(イースクエアによる推計)。公募要領上、FSの上限金額は1億円、小規模実証事業の上限金額は5億円ですが、過去の採択案件の規模感は予算積算の際に一つの参考になるでしょう。

まず整理しておきたいこと

公募はすでに始まっていますが、申請書を埋める作業に入る前に、案件の前提を整理しておくことが重要です。対象分野や類型の整理、日本側・相手国側の裨益の整理まで含めて、申請の軸を早めに固めておくことで、案件の方向性や申請書全体の説得力がぶれにくくなります。

FSで何を確認したいのか、小規模実証で何を実証したいのかを明確にする

市場性、制度面、技術適合性、運用面など、どこを検証したいのかがはっきりすると、案件の輪郭が見えやすくなります。制度上も、FSと小規模実証では目的や想定される進め方が異なります。FS事業は案件組成段階での実行可能性や採算性などを調査するものであり、小規模実証事業とは役割が異なります。

GX、DX、経済安全保障のどの分野に該当するのかを整理する

令和7年度補正の小規模実証・FS事業では、対象分野としてGX、DX、経済安全保障が示されています。GXは化石燃料からクリーンなエネルギー利用への転換等によるGHG排出削減を図る案件、DXはデジタル技術を用いてビジネスモデルの変革を図る案件、経済安保は「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令」で指定された特定重要物資に係る案件です。自社の案件がまずどの分野に位置付けられるのかを整理しておくことが重要です。

類型1、類型2、類型3のどれに当たるのかを整理する

応募に当たっては、事業の類型整理も重要です。案件の内容によって、どの類型で申請するのかによって説明の仕方や整理すべきポイントが変わってきます。公募要領を読み込み、自社案件が類型1(我が国のイノベーション創出につながる共創型)、類型2(日本の高度技術海外展開型)、類型3(サプライチェーン強靱化型)のいずれに当たるのかを早めに確認しておくと、申請書全体の組み立てがしやすくなります。

日本への裨益と相手国への裨益を、事業の中心に据えて整理する

本事業では、グローバルサウス諸国との経済連携の強化や事業実施国への裨益だけでなく、日本国内のイノベーション創出等による国内産業活性化も重視されています。公募サイトでも、グローバルサウスが抱える課題の解決を通じた日本国内産業活性化、米国関税の影響を受ける日本企業の新市場開拓、特定国への依存低減による経済安全保障の確保が事業目的として示されています。

そのため、申請に当たっては、相手国でどのような課題解決につながるのかに加え、日本経済にどう貢献するのかを整理しておくことが欠かせません。特に補助金という形で国費を投入する以上、自社の売上増、雇用増、新市場開拓、国内産業への波及など、日本側の裨益を具体的に説明できるかどうかが重要になります。

現地で誰と進めるのかを整理する

販売先、導入先、実証場所の提供者、共同実施先、行政窓口など、案件を動かす相手が見えているかどうかで、実現可能性の説明力は大きく変わります。過去の採択案件を見ても、現地課題との接続や実装可能性が強く意識された案件が多く見られます。

実証やFSの先の展開をどう描くかを考える

単なる単発の調査や試験導入ではなく、事業化や横展開までを見据えたストーリーがあるかどうかは、案件の説得力に直結します。これも過去の採択傾向から見えてくるポイントです。

まとめ

令和7年度補正のグローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金は、現時点ではまず春の公募を軸に考えるのが自然です。資料上は追加募集の可能性も残されていますが、仮に追加公募があったとしても、後ろの公募ほど実質的に事業に使える期間は短くなる可能性があります。特に今年度は、小規模実証の期間が1年半に延びており、案件の具体性や実証の厚みがこれまで以上に問われる可能性があります。

そう考えると、やはり大切なのは、「そのうち次があるかもしれない」と待つことではなく、「今見えている公募に向けて今すぐ準備すること」ではないでしょうか。イースクエアでは、グローバルサウス案件の構想整理、相手国裨益・日本裨益の整理、現地パートナーの位置づけ、申請ストーリーの設計まで支援しています。制度の読み解きだけでは判断しづらい段階でも、案件形成の整理から伴走可能です。お気軽にご相談ください。

イースクエアの支援メニュー

イースクエアは、これまでグローバルサウス補助金を含め、多数の採択実績を持ち、補助金申請から事業実施・報告・清算までワンストップで伴走してきました。特に海外展開に伴う「現地調査」「パートナー連携」「制度対応」の経験が豊富であり、企業が自力では難しい部分を手厚くサポートします。

イースクエアでは以下の案件を含め、複数の案件をご支援しています。

株式会社トロムソ
ベトナム国/バイオ炭活用による農業の生産性向上と低炭素化の実証事業」(大型実証・ASEAN)

株式会社木村鋳造所
「インド/鋳造要素技術イノベーションを中心とした鋳造CoEおよび発展的CoE形成可能性調査事業」(FS事業)

公募資料作成支援

予算立案・コスト計算

調査計画・現地調査支援

報告書作成・清算サポート

全体進行管理

イースクエアでは、アジアやアフリカ等の途上国・新興国での多数のプロジェクト経験に加え、民間企業でのビジネス経験を有するコンサルタントのノウハウや現地ネットワークをフル活用し、補助金獲得や補助金案件の運用を含めたお客様のニーズに合わせて、海外ビジネス展開をオーダーメイドでご支援しています。グローバルサウス補助金を使った実現可能性調査(FS)事業立ち上げなどのご支援の実績も多数ございます。

ご興味がある方はお気軽に以下よりお問い合わせください。

田村 賢一
この記事の監修者
田村 賢一記事一覧
2005年よりデロイト トーマツ グループにてCSR戦略、環境マネジメント、中小企業向け経営コンサルティング支援に従事。2010年イースクエア参画後はCSR・サステナビリティ事業に従事し、企業の戦略策定、情報開示、社内浸透などを支援。2015年に取締役就任後は海外展開・事業開発支援を主導し、中堅・中小企業向けに公的資金の活用、人財育成、新規事業開発等を支援。近年は中堅・中小企業の海外展開支援に継続して取り組んでおり、サステナビリティ・海外展開関連の講演活動も多数行っている。

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