2015年12月 1日

イギリス気象庁(Met Office)と国連世界食糧計画(WFP)は、気候変動が飢餓に与える影響について、2080年代までシミュレーションできるインタラクティブ・マップを、パリのCOP21で発表した。

「食糧不足と気候変動マップ(仮訳)(The Food Insecurity and Climate Change map)」と題する本マップは、気候変動が世界的な飢餓に与えうる最悪の影響を防ぐための適応策や緩和策を示し、人々が食糧不足によって受ける影響を抑えることを目的とする。

さらに、温室効果ガス排出量の増加とともに、対策を講じなかった場合には何百万人もの人がこれまで以上に飢餓や栄養失調に陥ることも示している。

WFPのアーサリン・カズン事務局長は、パリで各国首脳が状況を正しく把握する事により、将来の世代の食糧安全保障の向上につながるとしている。

このウェブサイトは、WFPの食糧安全保障の専門家とイギリス気象庁ハドレー・センターの世界的に著名な科学者たちによる5年間の研究に基づく。最貧国の食糧安全保障に対する脆弱性に対し、気候変動が現在どのような影響を及ぼしているかを示すとともに、精緻な予測をもとに将来への影響についても分析している。現在、気候関連の食糧不足に対する脆弱性が最も高いのはサハラ以南のアフリカであり、アジアの多くの地域は中程度、南米と中米は低い水準となっている。

気候変動は、飢餓に苦しみ、脆弱な人々に不均衡な影響を及ぼす。土地、家畜、収穫、食糧供給を損なうことにより飢餓を増大させ、人々がマーケットや食糧ネットワークにアクセスすることを難しくする。軽微な気象の変化でも、脆弱な家庭では子どもを学校に通わせられなくなる、あるいは食事の量と質を減らすなどの非常事態につながりかねない。