2022年11月 4日

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、自然関連情報開示フレームワークのベータ版 v0.3 を発表した。TNFDは2023年9月に予定している最終提言の発表に向け、企業、金融機関、規制当局、NGO等といった幅広い層からの知見や実際の試験運用を通した学びを取り入れるオープン・イノベーション方式を採用し、フレームワークの開発を行っている。

今回のv0.3では、自然環境への依存と影響を取り入れることを推奨したほか、サプライチェーンのトレーサビリティ、ステークホルダーのエンゲージメントの質、気候変動と自然関連の目標の整合性に関する新たな開示提言を示したドラフトを発表。また、科学的根拠に基づく目標ネットワーク(SBTN)と共同で作成された目標設定に関するガイダンス案と、金融機関向けの開示ガイダンス案なども発表している。

同フレームワークは、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が進めるサステナビリティ情報開示や、既存の活用されているベストプラクティス基準やツール等との整合性を図るとともに、マテリアリティへのアプローチでは組織の規模や国・地域の状況等に対応できるよう柔軟性を設けている。TNFDは、フレームワークの提供を通じ、企業らに早期に行動を開始することを推奨し、徐々に開示への意欲を引き上げるために構造的な道筋を提供していく。今後TNFDは、2023年3月にv0.4を発表し、その後v1.0に向けてのコンサルテーションを同6月1日まで設ける予定。

TNFDの作業を歓迎する動きが各方面で見られる。先月、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、総額1.3兆米ドル、23社のWBCSDメンバー企業がTNFDフレームワークを試験的に導入することを発表している。また、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP-FI)は、金融機関の準備状況を調査した報告書を先月発表している。本報告書では、金融機関の現状や、彼らのTNFDへの期待などをまとめている。