2021年5月12日

国際標準化機構(ISO)は、気候変動ファイナンスに関する新規格を発表した。パリ協定の目標を達成するためには巨額の投資が必要であり、その鍵となるのがグリーンファイナンスや気候変動関連の事業への投融資である。新規格ISO 14097「温室効果ガス管理および関連活動 - 気候変動関連の投融資の評価・報告に関する原則および要件を含む枠組み(仮訳)(Greenhouse gas management and related activities - Framework including principles and requirements for assessing and reporting investments and financing activities related to climate change)」は、グリーンファイナンスに関する総合的で比較可能な評価と報告の枠組みを提供するもので、投資家が自らの取り組みを評価・報告し、気候目標に対する実際の貢献を認識するのに役立つ。

同規格の定める枠組みは、「セオリー・オブ・チェンジ」アプローチに基づいて、長期的なインパクトを生み出すために何が必要かを定義することを狙いとしている。投資判断が実体経済におけるGHG排出量の傾向に与える影響、低炭素社会への移行経路や気候目標と投融資判断の整合性、気候目標や政策が公開・未公開株式や債券、融資等の金融資産価値に与えるリスクなどについて取り上げ、原則、要求条件、ガイダンスを示す。規格策定にあたっては、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局がISOのパートナーとして協力した。

ISOでは現在、気候変動と金融に関する規格シリーズの策定を進めており、ISO 14097はその最新版。他に、グリーン債券の環境パフォーマンス評価に関するISO 14030シリーズや、グリーンファイナンスのプロジェクト評価に関するISO 14100、気候変動適応策の資金調達メカニズムに関するISO 14093などの策定が進められている。