2018年9月12日

大手国際金融グループHSBCは、「サステナブル・ファイナンスとESG投資動向に関する報告書(仮訳)(HSBC Sustainable Financing and ESG Investing report)」を発表した。豪州の金融市場調査会社East & Partnersに委託しているサステナブル・ファイナンスに関する3度目の調査となる今回は、868の投資家、863の企業(発行体)の合計1,731機関を対象としている。

報告書によれば、61.4%の機関投資家及び47.6%の発行体がESGに関する戦略をもっており、その理由としてはESGに焦点を当てることが財務パフォーマンスの向上に役立つと考えていることが挙げられた。過去の調査では規制面での圧力が一番の動機であったため、ESGへの取り組みを進める理由に変化がみられたと言える。地域別では、欧州、英国、カナダにおいて、ESGに関する戦略をもっている投資家、発行体がともに80%を超え、アジアは投資家23.7%、発行体は40%であった。

57.1%の投資家及び、66.6%の発行体がESGへのコミットメントを高める際の障壁はないと回答していたが、ESG定義の一貫性の欠如や、不十分な開示、マーケットによっては投資の要請や機会の不足などが障壁としてあげられていた。

HSBCも支持している気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、気候変動によるリスクの計測と報告に関する提言を発表しているが、今回の調査によれば提言を認知しているのは10%の投資家と、8%の発行体とに留まった。

また、投資家も発行体も、ESGへのコミットメントによって評判が上がったと回答しているにも関わらず、ESGに関する情報公開の度合いは地域によって異なり、国際的には透明性の確保が課題となっている。