2023年11月 2日

デンマーク人権研究所(DIHR)は、EUが現在検討している、強制労働により生産された製品を禁止する新法を分析した論文を発表し、人権に基づくアプローチの観点から提言を行っている。

欧州委員会は2022年9月に、強制労働によって生産された製品取引をEU市場で禁止する規制案を提出しており、現在、欧州議会およびEU理事会がそれぞれ内容の検討を進めている。デンマーク人権研究所の論文は、この審議プロセスに貢献し、米国などの類似法規も参照し 、規制案の内容に関する懸念事項に対して見解・提言を示す内容となっている。

同論文の提言の要旨は以下の通り。

  • 規制の内容を現在審議中のコーポレートサステナビリティ・デューディリジェンス指令(Corporate Sustainability Due Diligence Directive)と整合して相乗効果を狙い、両法の相互執行可能性を確保する。
  • 強制労働の犠牲者が置かれた状況を改善できるよう、人権に基づくアプローチを採用する。
  • 企業が管轄機関やステークホルダーと積極的に協力し、発見された強制労働事案に対して適切な対策を講じるよう、企業に十分なインセンティブを提供する。
  • 効果的な法執行を徹底するため、企業に対して、高リスク地域に由来する製品の生産に強制労働が行なわれていないことを証明する義務を課す。