現在世界の農業は、異常気象や環境劣化による不作や供給不安、市場不安に直面している。農業生産を通して自然の機能を修復し、気候変動対応に貢献すると同時に、農業従事者の生計にも益となるソリューションとして、リジェネラティブ農業(regenerative agriculture)が注目されている。
レインフォレスト・アライアンスは、熱帯の農業従事者や企業が生態系を回復させ、レジリエンスを高めることができるよう、支援策として新たにリジェネラティブ農業規格を発表した。来年初めから、認証済み商品には、消費者にアピールするリジェネラティブ農業製品の認証ラベルが掲載される。最初はコーヒーのみを対象とするが、2026年を通して認証対象作物を拡大し、カカオ、柑橘類、茶などにも適用するという。
同規格は、土壌の健康と肥沃度、気候レジリエンス、生物多様性、水スチュワードシップ、生計の5項目に関して進度と結果を評価し、科学に基づく明確な認証ルートを確立する。独立監査人が定期訪問監査により規格適合を確認し、認証を行う。認証された農場・企業は、製品にレインフォレスト・アライアンスのリジェネラティブ農業認証ラベルを表示することができる。
リジェネラティブ農業の原則を効果的に導入すれば、コーヒー生産者は、生産性とレジリエンスを高めると同時に、認証を通して新たに市場を開拓し、消費者にアピールする機会を得られる。また、調達する企業にとっても、サプライチェーンのレジリエンスを高める戦略的投資の機会となる。
コーヒーについての同規格は、すでにブラジル、コスタリカ、メキシコ、ニカラグアのコーヒー農場で導入が始まっており、2026年には認証を受けた製品が店頭に並ぶ見込みである。

