自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、ニューヨークで開催されていた気候ウィークで、TNFDとして初となる2025年の進捗報告書を発表した。報告書は、TNFDが2025年夏季に実施した調査をもとに作成されている。調査では850件の回答があり、そのうちの49%が企業からの回答で、次いで金融機関、サービスプロバイダーとなっている。
本報告書で明らかとなった調査結果は以下のとおりである。
- 50以上の国や地域から620の組織が参加し、TNFDの推奨事項に沿った自然関連の報告開示を表明した。組織の運用資産額は20兆米ドル
- 500件以上のTNFD報告書が発行されている
- 調査に回答した企業や金融機関の63%が、自社の今後の事業展開において、自然関連の課題は気候関連の課題と同等かそれ以上に重要だと考えている
- すでに報告開示を実施した企業の78%が、その開示情報を気候や自然関連の報告書に統合している
- 6月に実施された責任ある投資家調査では、投資家の77%が、TNFDにもとづく具体的な自然関連基準の策定を望んでいると回答した
本報告書からは、企業や資本提供者の意識変化が読み取れ、地球の生態系と生物多様性のレジリエンスが自社事業のレジリエンスの基盤であるという意識が定着しつつあることがわかる。
一方で、企業の意思決定や情報開示の実践に自然関連の項目を統合するアプローチが主流化するには、依然として課題が残るとまとめられている。

