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インドのスタートアップ1: エドテック(教育テクノロジー)の概要と事例の紹介

【公開日】 【最終更新日】

エドテック(教育テクノロジー)は、教育の質と教育への平等なアクセスを向上させるための強力なツールとして注目されています。特にインドでは、急速に成長するスタートアップエコシステム中で、エドテックのスタートアップが成長しています。本稿では、インドのエドテック市場の現状とインドを代表するエドテック企業を紹介します。 

 

インドのエドテックが普及する背景 

インドにおいてエドテックが急速に普及している背景には、以下のような社会課題が存在しています。エドテックはこれらの社会課題を解決する目的で、その発展を遂げてきた経緯があります。 

 

教育に関連する主な課題: 

A)教育の質とアクセスの不均衡 

インドの農村部や遠隔地では、教育インフラが不十分であり、質の高い教育を受ける機会が限られています。都市部と比較して、教師の質や教育施設の整備が遅れているため、教育の質に大きな差が生じています。 

B)高い学生人口と不足する教育資源 

インドは世界で最も若い人口を抱える国の一つであり、毎年数百万人の新入生が学校に入学しています。しかし、教育インフラの整備が追いついておらず、教師や学校の不足が深刻な問題となっています。 

C)教育の質向上と標準化の必要性 

インドでは、学校や地域によって教育の質に大きなばらつきがあります。特に、公立学校と私立学校の間で教育の質に大きな差があり、教育の標準化が求められています。 

 

インド政府が推進する支援策  

インド政府は、エドテックの普及を支援するための政策を積極的に推進しています。NEP 2020 (National Education Policy1) は、2020年に発表された国家教育政策(NEP 2020)は、インドの教育システム全体を改革するための大規模な政策です。エドテックの活用とデジタル教育の推進が重要な要素として位置づけられています。また、DIKSHA (Digital Infrastructure for Knowledge Sharing2) は、教師と学生のための全国的なデジタルプラットフォームであり、学習教材や教育リソースをオンラインで提供しています。中央政府と州政府が協力して運営しており、公立学校での使用が奨励されています。DIKSHAは、NEP2020の中でもその利用が推奨されており、基本的な読み書き能力や計算能力等に向上に寄与するとされています。また、これらのデジタル教育の基盤を強化する政策として、「Digital India3」プログラムがあります。この政策では、全国的なデジタルインフラの整備を進めています。 

 

インドのエドテックスタートアップの規模  

インドのスタートアップの中で、エドテックは6番目の資金調達額2017~2023年)(約110億㌦)なっています。 

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出典:Inc42, State Of Indian Startup Ecosystem Report 2023

また、インドのエドテックの資金調達額と案件数は、それぞれ年平均成長率で(2017~2022年)63%15%となっています。

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出典:Inc42, State Of Indian Startup Ecosystem Report 2023

インドで注目されるエドテックスタートアップ

ここからは、インドで注目されるエドテックのスタートアップ企業を2社紹介します。

BYJU’S

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https://byjus.com/global/ 

BYJU’Sはインド最大のエドテック企業であり、世界でも注目されています。2011年に設立されたこの企業は、現在1億人以上の登録ユーザーを抱えています。2024年には約700百万ドルの資金調達を行い、評価額は220億ドル(約3兆円)に達しました​ ​。BYJU’Sは、インタラクティブな学習コンテンツとAIを活用した個別指導により、学生の学習効果を最大化しています。特に数学や理科の科目での成果が顕著で、エドテック業界のリーダーとして成長し続けています。

Unacademy

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https://unacademy.com/ 

 

Unacademyは、オンライン学習プラットフォームとして、多数のコースとライブクラスを提供しています。2015年の設立以来、同社は急速に成長し、現在では4,000万人以上の登録ユーザーを持ち、年間成長率は50%以上に達しています。特に資格試験対策に強みを持ち、多くの受験生に支持されています。

 

本稿では、インドのエドテックについてその概要と注目企業を紹介してきました。インドのエドテック企業は引き続き成長をしていくことが予想されており、特に、AIAR/VR技術の進化により、教育の質と効率がさらに向上していくことが予想されています。

 

イースクエア実績

イースクエアでは、2010年よりインドを始めとする開発途上国・新興国での日系企業のビジネス展開を政府機関、公的機関、国際機関が提供する様々な支援スキーム(委託調査事業や補助金・助成金等)を活用しながらサポートしています。

 

〈インドプロジェクト実績表〉

年度

スキーム名/事業内容

事業者名

2015

JICA案件化調査(中小企業支援型)/環境配慮型トイレの導入にかかる案件化調査

大成工業株式会社(鳥取県)

2016

民間 市場調査/建築資材(建築骨材)の市場調査

非公開(近畿地方)

2017

JICA普及・実証・ビジネス化事業(中小企業支援型)/環境配慮型トイレの導入にかかる普及・実証事業

大成工業株式会社(鳥取県)

2018

JICA案件化調査(中小企業支援型)/鋳物製造技術者育成にかかる案件化調査

株式会社木村鋳造所(静岡県)

2020

JICA普及・実証・ビジネス化事業(中小企業支援型)/鋳物製造技術者育成にかかる普及・実証・ビジネス化事業

株式会社木村鋳造所(静岡県)

2021

民間 市場調査/有機化学品製造業の市場調査

非公開(九州地方)

2021

民間 市場調査/建設業における人材育成の市場調査

非公開(東海地方)

2021

民間 市場調査/衛生関連装置の市場調査

非公開(関東地方)

2022

技術協力活用型・新興国市場開拓事業費補助金(社会課題解決型国際共同開発事業(製品・サービス開発等支援事業)):「J-Partnership 製品・サービス開発等支援事業補助金」

建設業向けITスタートアップ企業(インド)

2023

鳥取県海外展開牽引企業創出補助金(プロジェクト連携型外需獲得事業)

大成工業株式会社(鳥取県)

 

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田村 賢一
この記事の監修者
田村 賢一記事一覧
2005年よりデロイト トーマツ グループにてCSR戦略、環境マネジメント、中小企業向け経営コンサルティング支援に従事。2010年イースクエア参画後はCSR・サステナビリティ事業に従事し、企業の戦略策定、情報開示、社内浸透などを支援。2015年に取締役就任後は海外展開・事業開発支援を主導し、中堅・中小企業向けに公的資金の活用、人財育成、新規事業開発等を支援。近年は中堅・中小企業の海外展開支援に継続して取り組んでおり、サステナビリティ・海外展開関連の講演活動も多数行っている。

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