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第5の競争軸
[図] 20世紀市場の決定的競争要因 → 21世紀市場の決定的競争要因
20世紀後半の市場においては、企業の競争力を左右する競争軸は、主に「自己変革力」「マーケットシェア」「価格」「品質」の4つでした。すなわち、事業環境の変化に対して、表面的な改善に留まらず、企業のあり方そのものを変革し、商品群に抜本的な革新を生み出し続ける能力としての「自己変革力」、自社の商品・サービスの手に入りやすさとしての「マーケットシェア」、ターゲット顧客を意識した適切な価格設定としての「価格」、そして、結果としての製品およびそれをもたらすプロセスの「品質」が、企業の競争力を決定づけていました。
これらの競争軸は、21世紀前半の市場においてもきわめて重要であることに変わりありません。しかし、先に見たような、環境・社会制約が厳しくなり事業環境が大きく変わる市場においては、上記の4つの競争軸に加えて、もう一つの新たな競争軸を意識する必要が高まってきていると考えます。その競争軸を、私たちは「第5の競争軸」と呼んでいます。
「第5の競争軸」とは、「環境革新(グリーン・イノベーション)」と「持続可能性(サステナビリティ)の追求」です。つまり、地球規模で起こっている環境・社会課題に対して、小手先の改善ではなく、持続可能な社会の実現に向けて、自社の経営と事業を革新し、商品・サービスを通じて新たな企業価値を創造する能力のことです。「慈善感覚」(メセナ活動)や「企業の社会的責任」(CSR)という観点から取り組むに留まらず、「環境革新」と「持続可能性の追求」を本業と結びつける経営ができるかどうかが、これからの企業の存続を左右する重要な要因になってくると考えます。
「第5の競争軸」を極めることは、いままではトレード・オフの関係にあると考えられていた、「企業価値の向上」と「社会価値の創造」を同時に達成することです。このような状態を、私たちは「持続的な価値(Sustainable Value)が創出されている状態」と呼びます。そして、この「持続的な価値」を生み出す組織的な能力を高め、市場における競争力を高めるための体系的かつ戦略的なアプローチとして、「持続的価値経営(SVM=Sustainable Value Management)」を提唱しています。
持続的な価値(SV=Sustainable Value)の創造
企業価値の向上   社会価値の創造
  • 新しい市場が開拓できる
  • 自社の商品・サービスがより売れるようになる
  • 自社の評判が高まり、顧客ロイヤルティ−が向上する
  • 自社のブランド価値が高まる
  • より士気の高い、忠誠心ある人材が確保・維持できる
 
  • 未解決の環境問題・社会課題への対応が進む
  • 満たされていない現世代の基本的ニーズが満たされる
  • 経済発展の在り方が変わることによって、将来世代の生存・発展可能性が高まる
  • より健全で安心・安全な社会が実現される
  • 希望、夢、感動、幸せ、充足感のある暮らしが広まる